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湯浅のドイツ報告・・ドイツ北端の町から・・(1999年7月3日)

エッ、こんなだったっけ・・?!

 久しぶり(10 年ぶり?!)に訪れた、ある町の「雰囲気」の変わりように、ちょっと声が裏返りそうになったものです。

 ハンブルクでのビジネスミーティング、仲間のサッカーコーチとの意見交換のあと、親友が住む、ドイツ北端の町、フレンスブルクへ足をのばしました(時差ボケもあって、ちょっと休憩ってな具合!!)。そこをベースに、北ドイツ(シュレスヴィック・ホルシュタイン州)をドライブしたときのことです。

 ドライブは快適そのもの。フラッハ・ランド(フラット・ランド)と呼ばれるだけあって、なだらかな麦畑の丘陵が続きます。その中を、どこまでも続く田舎の一本道(とはいってもそこはドイツ、舗装状態はスーパー!)。ず〜〜っと先まで見渡せます。たまにすれ違うクルマとも、手を挙げて挨拶してしまったりして・・。(ここいら辺りの道は、オートバイでのクルージングに最高!!)

 そこで、以前何度も訪れたことのある北ドイツの保養地、エッケルン・フェルデという港町に立ち寄りました。町というよりは、村といったほうがしっくりとくる程度の小さな規模。海岸、埠頭ぞいに赤い煉瓦づくりの二階屋が軒を連ねる、独特の美しさと落ち着きを醸し出す外観はそのままなのですが、とにかく人通りの少ないことに、かなり違和感を感じたのです。

 土曜日だし、以前だったら歩行者天国には人(観光客・保養客)があふれ返っていたのに・・

 「いったいどうなったんだろう・・」

 「国内の観光(保養旅行)が冷え込んでいるんだよ。ちょっと時間があったら、みんな外国へいってしまうしな・・」

 そんな親友の言葉に、そういえば日本でも、伊豆などの国内観光地を訪れる旅行客の数が激減しているんだったな・・なんてことを思い出しました。国内旅行をするよりも、海外へいった方が安くつくことの方が多いというし、異文化とも接することができる。「バリュー」は確実に海外旅行の方が上・・。そんな事情はドイツでも同じというわけなんでしょう。これも世界的な国際化、情報化の波が間接的に影響を与えた結果ということなのかも・・

 「変化こそ常態」。「諸行無常」。ドイツ語で「ニヒツ・ブライプト・ゾー・ヴィー・イスト」・・

 そんな原則は分かってはいるものの(実際、私自身のプライベートライフは「変化のカタマリ」なんです・・)、エッケルン・フェルデの変わり様に、ちょっと寂しい思いをしたモノです。「変化」に慣れているとはいっても、やっぱり・・?!

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 ハナシ変わってサッカー。

 「あの」頑固なドイツのサッカーにも、かなり大きな「変化」の兆しが見え始めています(彼らもやっと上記の真理を再認識した?!)。オーバーコーチングが過ぎるから、若い才能を伸ばすというよりは、逆につぶしている・・などといった議論が盛んに行われるようになっただけではなく、(ドイツ代表も含む)トップクラスのチームでも、(ドイツ伝統の)「スイーパー」や「リベロ」を置くのではなく、イタリアのように「ライン構成の最終守備ブロック(ラインスリーやラインフォーなど)」にするような傾向も強くなってきているのです。

 1994年アメリカワールドカップでの対ブルガリア戦での敗退。1998年フランスワールドカップでの対クロアチア戦での敗退。それが、頑固なドイツ人にも「変化」をうがしたんでしょう。良いことではありませんか。「あの」ドイツ人のことだから、全体的なコンセンサスさえ得られれば、本当に一気に変わってしまうかも・・

 「重要なのは、選手たちの『(サッカー的)インテリジェンスの向上をベースにした戦術的な柔軟性』だ・・」

 友人のプロコーチ、クリストフ・ダウムの言葉なのですが、要は、システムに不必要にこだわり続けるのではなく、状況に応じて(戦術的に)柔軟に対応出来なければならないということです。

 拙著「闘うサッカー理論」の冒頭で、「ポジションなしのサッカーが理想だ・・」と書きました。選手一人ひとりの能力が高ければ、基本的なポジション(システムの一部)などは必要ないということを「理論的なスタートライン」にしたのですが、やはり選手の能力には限界があります。だから「勝つために」は、システムと呼ばれる、基本的なチーム内の決まり事(どのように攻め、守るかについての決まり事=チーム戦術)や、戦術プレーに対する確固たる(チーム内で統一された)イメージが必要になってくるのです。(変化を続ける)「より進歩的で柔軟」なシステムや戦術プレーイメージがネ・・

 これについては、改めて「2002」で取りあげようと思っています。さて明日は、ドイツ(プロ)サッカーコーチ連盟主催の国際会議が開催される町へ、かなりの距離を移動しなければ・・




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