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ワールドユース(3)・・ヤッタ〜ッ!!・・彼らが魅せつづけた粘り強い高質ディフェンスが最高のカタチで報われた!!・・日本がグループトップで決勝トーナメントへ!・・日本対エジプト(1-0)・・(2003年12月6日、土曜日)

今回のワールドユースでの日本代表の戦い方について、まず原則的なところを再確認しておきましょう。要は、「プレー姿勢」についてということですが、そこが私が一番(ベンチを)評価しているポイントですから・・。

 それは、勝つこと「だけ」をターゲットに、受け身のディフェンシブ戦術を展開するのではなく、攻守にわたり、あくまでもダイナミックな(活動的≒リスクチャレンジ姿勢が前面に押し出される)プレー姿勢でゲームに臨んでいるということです。例えばコロンビア戦。コロンビアの「個の才能」は、あの年代では大変なレベルにあるわけですが、そんな強者連中を相手にしても、マンマークで「ポイント」を確実に潰すという発想ではなく(まあもちろん傾向としてのハナシだから、ケースバイケースで個を潰しにいくこともあったけれど・・)、あくまでも自分たちの守備のやり方を貫きとおしたのですよ。そして、そんな前向きのリスクチャレンジ姿勢にもかかわらず、流れのなかで守備組織を崩されて大ピンチを迎えるというネガティブシーンは本当に数えるほどしかなかった。失点は、セットプレーからが二点だったし、流れのなかで作り出したとは言い難い浮き球のつなぎで崩されただけだったですからネ。とはいっても、リーグ戦突破を考えれば、たしかに四つ目の失点は痛かったけれど・・。

 さて、エジプト戦。日本チームは、勝ち点「4」以上を獲得すれば決勝トーナメント進出が決定します。要は、既にトーナメント進出が決定しているエジプトを相手に、引き分け以上でいいというわけです。さてどうなるかな・・なんてことをゲーム前に考えていた湯浅だったのです。

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 試合がはじまりました。前半の印象は、この若武者たちは、本当に期待通りの立派なサッカーを展開してくれる・・というものでした。

 その組織的なディフェンスが秀逸なのです。ポジショニングオリエンテッド守備システム。それは、選手たち個々が常に考えつづけ、判断・決断し、勇気をもって実行しつづけなければ決して機能しないシステム。誰もがチェイス&チェックを狙い、誰もが「次の勝負シーン」を明確に描写しつづけなければならない・・。だから難しい守備のやり方だといえるけれど、このチームは、確実にそれを自分たちのモノにしていると感じます。ベンチ(大熊監督)が為した良い仕事に対し大拍手を送っていた湯浅でした。

 相手のエジプトは、組織プレーと個人勝負プレーがハイレベルにバランスしたモダンサッカーを展開する力強いチーム。それでも最初の数分間を見ていて、私の心配が杞憂だったことを確信した次第。特にボールがないところでの守備が素晴らしい。それこそ、このチームの「緊張感≒集中力≒考えつづける姿勢」の象徴というわけです。それこそが、ベンチの「意識付け」の成果というわけです。

 それでも、立ち上がりの5分に、中央ゾーンでのショートパス交換から、最後はダイレクトでのスルーパスを決められてしまったり(GK川島のスーパータイミングの飛び出しがピンチを救った・・この大会で、何度彼が決定的ピンチを救ったことか!)、前半終了間際の40分代には、コーナーキックからのヘディングシュートや、左からの揺さぶりクロスからの折り返し&ダイレクトシュートを決められそうになったりと、三度ほど危ない場面を作り出されてしまいます。そこでも川島がスーパーセーブで防ぎました。特にヘディングシュート場面でのセービングは見事!!

 もちろん日本も負けてはいません。例によって、中盤守備の機能性向上にともなって徐々に自信レベルを高揚させていった若武者たちは、前半20分すぎあたりから危険な攻撃を仕掛けていけるようになります。そこでのキーパーソンは、両サイドバック(徳永悠平と鈴木規郎)。頼もしい突破力を見せてくれます。特に鈴木規郎が吹っ切れた突破力を魅せつづけました。その素晴らしい突破力を見ていて、第一戦レポートで、彼と小林大悟と間違えて記述してしまったことに対して、ホントに穴があったら・・ってなことを思ったものでした。

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 でも後半は、ちょっとゲームの流れが風雲急を告げはじめます。エジプトの仕掛けの勢いが目立って高揚してきたのです。もちろん中盤守備がそのベースであり、高い位置でのボール奪取をベースに、素早いパスと勝負所でのドリブル突破で、大迫力の攻撃を仕掛けてくるのです。前半では、互角以上のせめぎ合いを魅せた日本代表でしたが、自分たちのホームゲームに近い雰囲気に勇気づけられたエジプトの勢いを抑制するのが難しくなっていったと感じました。

 そして、流れのなかから、またカウンターからと、一本、二本と、決定的なチャンスを作り出してしまうエジプト。何度、「あっ・・やられた!」なんていう声が出そうになったことか。でもそのたびに救世主が現れるのですよ。言わずと知れたGK川島。相手のシュートアクションを読み切ったとまで表現できそうな、素晴らしく落ち着いたゴールキーピングを魅せつづけるのです。その自信あふれる態度もいいですよネ。守備ブロックを落ち着かせるに十分なオーラを放散させていました。とはいっても、ちょっと日本代表ミッドフィールドのエネルギーダウンが心配・・。この試合で日本代表は、少なくとも引き分けには持ち込まなければいけないのに・・。

 後半10分。押し込まれつづけるという悪い流れを断ち切るために、大熊監督が決断します。小林大悟に代えて谷澤を投入したのです。流れを変える演出家というイメージがある「ボールキープの上手い」谷澤。さて・・なんて観察していたのですが、どうも彼のディフェンスは「おざなり」で、大きな戦力アップになっていない・・。このチームの生命線は、何といっても中盤ディフェンス。そのペースが、谷澤によってアップしたとは到底言えないのですよ。だから、悪い流れを断ち切るまではいけない日本代表というわけです。

 それでも(前半同様に)20分を過ぎた辺りから、またまた日本の若武者たちがペースをアップさせてくるのです。自信レベルの回復・・。もちろんそれには、中盤ディフェンスがうまく機能しはじめたからという背景もありました。そこでは、成岡と今野のコンビが魅せた素晴らしい守備パフォーマンスが大きかった。特に今野のキャプテンシーに対し大拍手をおくっていた湯浅だったのです。

 面白いことに、中盤ディフェンスの機能性回復にともなって、谷澤の「上手さ」もうまく機能しはじめるのですよ。そんな展開を見ながら、「本当にサッカーを評価するのは難しいな・・相手やゲーム全体の流れ等々の条件によって、何がキッカケでプレーの機能性が回復するか分からない・・」なんて思っていた次第。

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 そしてドラマチックだった最後の20分間。私は、祈るような気持ちでゲームを追っていました。何せエジプトの攻めの勢いが、また一段シフトアップしましたからネ。そんな状況になっていた後半34分に日本代表が決勝ゴールを挙げてしまうのだからサッカーは分からない。この決勝ゴールによって、それまでギリギリの3位通貨を祈っていたのがトップ当選ですからネ。眠気も覚めるってモノじゃありませんか。

 それは、エジプトの重心が前へかかり過ぎた逆を取るカウンターが見事に決まったゴールでした。それもスコアラーは、その数分前に阿部と交代した平山で、彼にラストスルーパスを出したのは谷澤・・。選手交代(その意図)が、うまくツボにはまって成果につながった?! まあ、結果的にはそういうことですが、それよりも、とにかくチームの全体パフォーマンスに対するベンチワークに敬意を表したい湯浅なのです。

 さて、決勝ゴールを入れてからの(ロスタイムも含む)最後の15分間。私は日本代表のディフェンスの機能性に目を凝らしていました。そして思ったものです。この若武者たちは、決勝トーナメントでも、どんどん成長を続けられるに違いない・・。

 この15分間は決して短くはありません。いや、闘っている選手たちにとっては、永遠にも感じられる時の経過だったに違いない。それでも私は、選手たちが「長いな〜」と思いながらプレーしていたとは、まったく感じませんでした。瞬間、瞬間の勝負プレーでの集中レベルが尋常ではなかった。そんなギリギリの状況でも、選手たちは、自らの判断と決断で、ギリギリの勝負(守備)アクションをつづけていた(自ら仕事を探しつづけていた!)のですよ。その姿勢は、感動的でさえありました。まさにそれは、ギリギリの状況だからこその成長・発展でした。(大熊監督も含め!)日本の規範を越えた若武者たち。これから彼らのことをそう呼ぶことにしよう・・。

 久しぶりに、勝負の大会において成長しつづけるチームの証人になれたことを心から喜んでいる湯浅でした。サッカーコーチにとって、そのプロセスほどの学習機会はありませんからネ。さてこれから、スーパーセーブを連発した「タフネス・マインドの頼れる守護神」川島永嗣に対して心からの拍手(と感謝の念)をおくりながら、決勝トーナメントに思いを馳せることにしよう・・。

 もうアタマが回りません・・乱筆、乱文、誤字脱字のオンパレードなんだろうな・・でももう読み返す元気がない・・それではお休みなさい・・




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