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ナビスコカップ第一節・・たしかにマリノスは、まだまだですネ・・マリノスvsFC東京(1-0)・・(2003年3月8日、土曜日)

伝え聞くところによると、シーズンへ向けた最終段階にあるマリノスの調子が今ひとつとか。まあ調子というか、選手たちの考える姿勢(自分主体で仕事を探し、積極的にリスキープレーにチャレンジしていく姿勢)にテーマが見えるということなんでしょう。それこそが、個のチカラでは十二分なものを備えているマリノスの課題。さて・・。

 この試合での岡田監督は、昨シーズンは中盤のコア(核・・湯浅の文章にカタカナ表現が使われ過ぎるというクレームが多いモノで・・)の一人としてプレーしつづけた上野をベンチスタートにします。戦術的な意図? まあそれはないでしょうから、ケガとか、体調の問題・・はたまた那須を先発でトライしてみようとか?

 私は、中盤ダイナミズムを演出するという視点で、上野のプレー姿勢に問題があると常々思っていました。あれほどの能力に恵まれているのに、攻守にわたって全力でプレーするという姿勢が明確には見えてこない(斜に構えたプレー姿勢)・・、だから仲間を叱咤激励するなどのリーダーシップも機能不全・・。この試合での上野のベンチスタートには、そういう判断もあったのかな・・なんて思っていたのです。上野を外すことは、他の選手たちにとっても大いなる刺激になるはずですからね。

 サッカーにおいても、目標(目的)を達成するための「ファクター(要素)」はどんどんと変化している・・というか、盲目的にファクターの継承をプライオリティー(優先課題)にしたところから組織ダイナミズムの減退がはじまるという、歴史が証明している事実が当てはまります。いや、サッカーほど、変化こそ常態(諸行無常)という概念が当てはまる社会的存在はないと言えるかもしれません。「既存の枠組み」を疑ってかかるところから、新しく、より発展した「何か」をはじめることができる・・。もちろん、チーム作りにおける根元的な考え方(チーム戦術)では継続性が問われるわけですが、それにしても、常に疑ってかかる態度が重要な意味をもってきます。

 とはいっても、それもケースバイケース。ファクターの継続を、「その時点」でのプライオリティーにすることが最良であるというケースも多いわけですがね・・。だから「発想のバランス」が大事になってくるというわけです。難しい議論ではありますが・・。

 ちょいと、上野のベンチスタートという現象を深堀りし過ぎでしょうか・・。とにかく岡田監督には、「創造的な破壊」という発想をベースに、マリノスを前向きにイメチェンさせて欲しいと願って止まない湯浅なのです。日本代表、コンサドーレ時代も含めて、はじめて彼が、「自分が主体のゲーム戦術」を組むことが出来るだけの「個のチカラ」を手に入れたわけですからね。

 十分な個のチカラを手に入れた・・。それは、岡田監督の仕事内容がかなり違ったものになることを意味します。これまでは、チャレンジャーという心理環境がスタートラインにならざるを得ないチームで指揮を執っていたのが、マリノスでは・・。そんなところも、今シーズンの見所だということです。

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 さて試合。

 FC東京が、例によっての忠実で組織的な中盤守備をベースに、しっかりとボールを動かす小気味の良いサッカーを展開します。対するマリノスは、中盤ディフェンスが「甘い」ことで、また攻撃でも、互いのイメージが有機的に連鎖しないことで、どうしても良いペースでゲームを展開することができない。

 マリノスの中盤守備が、受け身になっていると感じるのです。互いのポジショニングバランスはいいのですが、ボールホルダー(次のパスレシーバー)に対するチェックが甘く、それが、次、その次のディフェンスアクションに悪影響を及ぼす・・。また、ボールがないところで繰り出される相手フリーランニングを「行かせてしまう」シーンが続出する。だから、流れのなかで、何度も、数的に不利な状況を作り出され、決定的なピンチを招いてしまう。「どうして、もっとチェックを厳しくしないんだ! 次のパスレシーバーが見えているのに、どうしてもっと早いタイミングで詰めておかないんだ! どうして最後までマークをつづけないんだ!」。何度、そんな声が出そうになったことか。

 そんな状態ですから、ボールがないところで忠実に動きまわり、そこへシンプルにボールを回すFC東京が、惜しいシュートチャンスを作り出してしまうのも当然という試合展開です。たしかにシュート数では互角ですが、内容では、明らかにFC東京に軍配が上がるのです。上野のベンチスタートという心理的な刺激もうまく機能しない?!

 たしかにマリノス守備最終ラインの「個のチカラ」は十分ですが、どうもそれが、中盤ディフェンスとうまく噛み合っていないと感じます。だから次の攻撃も、「個」が主体の単発という印象がぬぐえない。

 それでも後半は、マリノスの「内容」も上がってきます。やっとだな・・なんてことを思っていたのですが、それでも、まだまだ中盤の高い位置でのボール奪取がままならない(ボールを奪い返せるという雰囲気が出てこない)。また攻撃でもボールの動きが緩慢。もっと、ボールのないところでしっかりと動くことをベースに、シンプルにパスをつなぐという発想を浸透させなければ・・。

 対するFC東京は、チーム戦術がしっかりと浸透していると感じます。攻守にわたって、選手たちのプレーイメージがうまく調和しているのです。それでも、攻撃で決定的な仕事ができる駒が足りないことも事実。アマラオ・・。

 開幕まで二週間。FC東京はよく仕上がってきていると思いますが、マリノスは・・。注目しましょう。




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