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ジーコジャパン(9)・・消化不良とはいえ、後半には、様々な視点の「ポジティブ内容」を見出していましたよ・・日本代表対パラグアイ代表(0-0)・・(2003年6月11日、水曜日)

さて、代表チームでもブレイクのキッカケを掴んだ大久保が、コンフェデのメンバーにも選ばれました。中山ゴンが怪我を負ったから、その補充ということ。まあ、「丸く収まって」よかった。とにかく、あの「特異で実効あるパフォーマンス」をチームにインテグレートしなかったら(組み込むことにチャレンジしなかったら=監督にとっても賭なのです!)、あとで大変な悔恨の情に苛まれたに違いない・・。

 私は、フットボールネーションで、その手の失敗を数え切れないほど体感していますからね。もちろん、(外部には漏れてこない!)現場の監督のボヤキも含めて・・。とにかく才能ある若手には、キッカケを掴んだ瞬間に、次々とチャンスを与えつづけることが(監督がその勇気を持つことが)いかに大事なことか・・。

 この試合での大久保も、大いなる可能性を魅せつづけてくれましたよ。何といっても、ボールがないところでの仕掛けの動きがいい・・最前線からの「汗かきディフェンス」もいい・・そして、動きまわることで、またシンプルにパスを回すプレーもミックスすることで得意なカタチに持ち込んでドリブル勝負する積極性もいい(この試合では二本のドリブルシーンを演出し、そのうちの一本が決まりそうになった!)・・またクロスへ飛び込んでいく勢い・タイミングもいい・・。とにかく、この若武者は伸びる!!

 ところでジーコ。この試合での先発では、中田英寿と楢崎以外、全員がアルゼンチン戦とは違うメンバーになりました。もちろん、中村俊輔、高原直泰、福西崇史、アレックス等は、先発メンバーのファーストチョイス範疇にはいる選手たちなんでしょうが・・。私は、これまでメンバー固定傾向が強かったジーコが、バランス感覚も含むめて、様々な意味でフレキシブルになってきているのかも・・と思ったりしているのですよ(もちろん希望的観測かもしれませんが・・)。何といっても、上手い選手と「本物の良い選手」は、まったく意味が違うし、まだまだ世界の一流という域まで到達していない日本代表の場合、様々な視点でうまくバランスのとれたチームを作るためには、さまざまな選手タイプを組み合わせなければいけませんからネ。

 もちろん、チーム内でのテンション高揚など、(心理・精神部分での)チームマネージメント的な仕事もまだまだ山積みでしょうが、多くの意味を包含する「バランス感覚」というテーマにも、もう一度スポットを当てて熟考をくり返してもらいたいと願って止まない湯浅なのです。

 さて試合・・。

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 本当に、「あのチャンス」を決めていれば・・。前半の、中田英寿からの絶妙タイミングのスルーパスを受けた高原のクロスをダイレクトシュートした中村俊輔の絶対的チャンス(GKの正面へ飛んでしまった)・・そして後半の、中村俊輔からのスルーパスを受けたアレックスの、一人かわしたシュート(右ポストをほんの数センチ外れてしまった)・・。もう一つ、大久保の「本当に微妙」なオフサイドゴールもありましたしネ(あのシーンでのアレックスのクロスは、本当に見事!!)・・。またまた「タラレバ」のハナシになってしまって申し訳ないのですが、とにかく何としても勝利が欲しかったジーコジャパンですからね。

 たぶん皆さんも思われていたとおり、全体的には、拮抗状態が最後までつづいたという「消化不良」の内容でした。こういうゲームはなかなかコメントし難いものです。何せ、「ポイント」が見えにくいですからネ。まあそれでも気付いたところを、ファーストインプレッションとして短くまとめることにします。

 立ち上がりの5分間、日本は攻め立ててチャンスを作り出しました・・というか、パラグアイが様子見の展開で、まず守備ブロックのイメージを固めようという慎重な立ち上がりだったということです。でもそれ以降は、五分の展開になります。たしかに全体的なボールポゼッションでは日本代表の方が上ですが、「内容」では完全に互角。

 私は、立ち上がりのゲームの変容プロセスを観ながら思っていました。「良かった・・国内組の若手主体とはいっても、そこはやっぱりパラグアイだから、ある程度のチカラはある・・これだったら、日本にとってもよいトレーニング機会になるだろう・・」。

 たしかにボールをキープしている時間は比較的長いけれど、決して日本がゲームを「支配」できているわけではない・・。それは、ほとんどの攻撃が、パラグアイ守備陣に「余裕を持って」はね返されていたからに他なりません。どうしてもパラグアイ守備陣を振り回すような危険な仕掛けを繰り出していけないのです。その一番の原因は、ボール奪取がうまくいかないから・・。

 要は、高い位置でボールを奪い返せないから、相手守備ブロックのバランスが崩れた状況で仕掛けをスタートさせられなかったということです。相手を追い込んで協力プレスを掛けるシーンの演出が希など、ディフェンスが有機的に連鎖しないことで意図的なボール奪取がままならなかった・・ボールを奪い返すのは、相手が最終勝負を仕掛けくるシーンか(必然的にファイナルバトル状態になる)、相手のミスばかり・・だから次の攻撃では、どうしても、カチッと固められた相手ディフェンスブロックに対峙しなければならなくなる・・こうなったら、守備力では定評のあるパラグアイだから、そうそう簡単に崩していけるはずがない・・。

 また、組み立て(仕掛けの準備段階)でのボールの動きが、遅く、狭いということもありました。それには、ボールホルダーがパスを出すリズムが不明確なだけではなく、攻撃に参加してくる「ボールがないところでの動き」も緩慢だったという背景もあります。だから相手守備ブロックに、完全に「次の仕掛けパス」を読まれてしまう・・。まあ、いつも書いていることですがね。

 福西、遠藤が前線へ絡んでいくというシーンは本当に希・・また中村俊輔も、例によって「止まって足許パスを待つ」シーンが目立つ・・だから、いつも前線での人数が足りない状態をくり返してしまう・・これでは、いくら中田英寿とツートップが動きまわっても・・。

 組み立て段階における中村俊輔のプレーですが、初期のフリーランニングは好転しているのですが(展開パスを受ける動き=全体的な運動量=守備参加も積極的)、どうも、その後の仕掛けへの絡みがうまくない・・。「仕掛けのキッカケ」としてのフリーランニング&パスレシーブはいいのですが、それが次の仕掛けコンビネーションへの参加につながらないのです。そこからのシンプルパス展開とパス&ムーブこそが、攻撃に活力(=相手守備ブロックのウラ・薄い部分を突く展開)を生みだすためのリソースなのに・・。そして、それがあってはじめて、「個のチカラ」を存分に発揮できる状況でボールを持つことができる。そんな「展開ピクチャー」が、どうも希薄だと感じるのですよ。

 それでも、動きが鈍かった福西に代わって中田浩二が登場した後半からは、そんな中村俊輔の(消極的な?!)ポジション取りが活かされるシーンが増えるのですよ。(活発で実効あるディフェンスを繰りひろげた)中田浩二と遠藤の守備的ハーフによる攻撃バックアップが活性化したことで、徐々に仕掛けでのボールの動きにもダイナミズムが生まれはじめたのです。だから逆に、二列目でスタンバイするばかりの中村俊輔にもボールが回るようになった・・。

 周りが、中村のポジション取りをイメージできるようになったから、前が詰まったときに(仕掛けのほとんどは、最前線で詰まり気味になってしまう!)、やり直しのバックパスの受け手として、中村にもパスが頻繁に回るようになったということです(前を向いて、ほぼフリーでバックパスを受けるのだから、そこから良いパスが出るのも道理!)。それが功を奏し、冒頭のアレックスのチャンスが生まれた・・。

 とはいっても、彼のプレーイメージが、まだまだ「決定的なパス出し」に特化し過ぎているのはたしかなこと。シンプルにパスを回した後に、スペースへスタートせず、足許パスばかりを待つようになってしまうことで、最後の仕掛けのコンビネーションに、積極的に絡んでいくというシーンが少なすぎると感じるのですよ。後半のようなカタチでボールを持てれば、本当に良い仕事をする中村俊輔。だからこそ、もっともっと積極的に仕掛けゾーンに絡んでいかなければならない・・それがあってはじめて、彼が持つ天賦の才が本当の意味で活かされるのです。彼には、前述した「上手い選手と良い選手の違い」「上手いからこそのワナ・・上手さという諸刃の剣」等々のテーマを、もう一度見つめ直してもらいたい・・。

 ちょいと中村俊輔についてのコメントが多くなってしまいました。とにかく、後半の日本代表のゲーム内容に、様々な視点で希望を見出していた湯浅だったのです。なるべく早くアップしなければ、またまたサーバーのキャパが一杯に・・。ということで、今日はここまでにします。

 また後日、前半と後半のポジティブな変容内容(アルゼンチン戦も含む)、攻守にわたって素晴らしく安定したダイナミックプレーを展開した中田英寿、最終ライン、はたまた守備的ハーフの機能性やトップ選手たちの仕掛けイメージレベル(特に大久保!・・この試合での内容も含め、やはり彼は日本代表の期待のヤングスターだ!)などのテーマでレポートするつもりですので・・もちろん自分自身の学習機会としてネ・・。




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