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またまた自信の深化を感じさせてくれた「グッドな学習機会」ではありました・・日本vsウクライナ(1-0)・・(2002年3月21日、木曜日)

どうも皆さん・・。いま、東京中日新聞に依頼された原稿を送ったところです。いや、新聞の原稿は大変。ワード数の制限だけではなく、締め切りがネ・・。

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 ということで、ウクライナ戦のレポートです。

 開始早々の1分でしたかネ、中盤でのガチャガチャから、「偶発的」なタテパスが、鋭いラストパスになってしまい、ポジションが「攻撃型」になっていた松田が、キレイに裏を突かれてしまって・・。抜け出したボロベイのシュートが枠を外れたことで事なきを得たといったシーンでした。フ〜〜ッと胸をなで下ろしながらも、「これが両チームにとっての大きな刺激になるに違いない・・。これは面白い試合になるかもしれないゾ・・」なんて期待が高まったものなのですが・・

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 試合前に配布されたメンバー見て、「ウクライナは、中盤以降は、ほぼベストメンバーじゃないか・・」なんて期待が高まったものです。要は、昨年11月に行われた、ドイツとのW杯最終予選プレーオフのメンバーから、シェフチェンコ、レブロフ、そして守備ラインの重鎮、ルイニが抜けただけの強力メンバーだったというわけです。でも日本じゃ、「あれは、1.5軍だ・・」なんていう雰囲気が広がってしまって・・。たしかにシェフチェンコは偉大です。それでも、ドイツ戦でのレブロフの出来はひどかったですから、それに代わる若手が入れば、かなり強力なチームになるはずだ・・と思ったのです。

 ウクライナには、もうあまり「国際的にアピールする機会」はありません。だからこそ、ガンガン「来る」ことに期待が高まったのです。何せウクライナの相手は、「ワールドカップのホストカントリー」ですからネ。

 でもフタを開けてみたら(前半は)、両チームともに、緩慢なプレーに終始してしまって・・。チャンスが出来たとしても、力ずく。または偶然ファクター主導のチャンス。ある程度の人数をかけたコンビネーションや、素早く、広いボールの動きをベースにした単独ドリブル勝負などを駆使して仕掛けていくための「強い意志」が感じられないのです。まあ、両チームともに「様子見」といったところ。

 ウクライナのプレーからも、期待された闘う意志が見えてきません。それは、彼らの中盤守備に如実に現れているし、彼ら本来の軽快なボールの動も、周りの(ボールがないところでの)動きが活発ではないことで、ほとんどといっていいくらい見えてこない・・

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 日本代表で目立っていたのは、中盤リーダー(=ボールが集まるステーション!)の不在。森島は「影武者タイプ」だし、まあ仕方ないかな・・なんて思っていました。

 それでも、アレックスと戸田、また柳沢は良かったですよ。特に戸田。もちろん先制ゴールを決めたからだけではありません。とにかく、中盤での彼の「実効レベル」がどんどんと増幅していること、そしてそれに伴うチームメイトたちの信頼の高まりを感じるんですよ。このことについては、前回の「紅白ゲーム」のときにアップした文章も含め、もう何度も書きましたがネ。

 先制ゴールは、アレックスのサイドチェンジパスから、中田浩二、西沢が絡み、最後は、「これぞ天才!」というタメを演出した柳沢の、正確なラストバックパスを戸田が決めたものでした。正確にコースを狙った落ち着いたシュート。いや素晴らしい。

 またアレックスは、素晴らしいフリーキック(前半14分)や、単独ドリブル突破チャレンジ、はたまた、ココゾ!の「強さを感じさせる」ディフェンス等々、存分に存在感をアピールしていました。

 前半38分くらいでしたかネ、左サイドから攻め上がったウクライナが、逆サイドへボールを展開したシーン。「アクティブ・プレーゾーン(そのサイド)」に集中し、逆サイドが空いてしまうというフラットライン守備システムの弱点をうまく突くウクライナ。そしてそこには、忠実に走り上がってきた別のウクライナ選手が待ち構えていた・・。

 でも、パスがその選手へ届こうとした、まさにその瞬間、青いカゲが爆発的に迫ってアタックし、ボールを奪い返してしまったのです。アレックス・・。彼は、その前の段階から、「これは、最後は逆サイドへパスがくるぞ!」というイメージを明確にもっていたに違いありません。

 そのディフェンスプレーを頼もしく感じたものでした。やはり左サイドは、基本的にはサイドバックなのだ・・。

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 後半。一点ビハインドのウクライナに火がつきます。最初からガンガンと攻め上がりはじめたのです。彼ら本来の「強さ」が見えてくる・・。

 アレックスと中村俊輔、そして西沢と鈴木が交代したのですが、その効果がまったく出てこない日本代表。でも後半11分に、森島と小笠原が交代してから、ちょっと日本代表が盛り返しはじめます。そして続く15分、福西と交代して明神が、また柳沢と交代して高原が入ったことで、俄然、日本の勢いがアップしてきます。

 まず中盤。明神という「優れたバランサー」を獲得した戸田のプレーが、前後左右に、よりダイナミックになっていきます。それに伴って(私は、そう判断しているのですヨ!)、小笠原、中村のプレーも活性化していきます。

 惜しむらくは、そこに柳沢がいれば、もっと彼の良さが出たに違いない・・なんて思いますがネ(もちろん高原も、久しぶりにダイナミックなプレーを展開しまた!・・でもネ・・)。特に、後半12分に魅せた、カウンターから抜け出す柳沢の「ボールのないところでの鋭い感覚」、そして落ち着いたボールコントロール(相手が当たれない体勢&スクリーニング!)と鋭いシュート(何故あのシュートが外れちゃうんだ!?)が、あまりにも素晴らしすぎたもので・・。

 活性化した小笠原のプレーにも、本来の才能を発揮するシーンを続出します。後半16分に魅せた、小笠原の「ドリブル突破&シュート」は、見応え十分。彼は、それ以外でも、中盤での「才能あふれるボールコントロール」やパス、バランスプレー、積極ディフェンスなど、かなり多く見せ場を作りました。でも、まだまだかな・・。

 そして最後は、またまた戸田。後半37分のことです。攻め上がった小笠原が、素晴らしいタイミングで、逆の右サイドへ展開します。そこで(たぶん鈴木によって!?)タメが演出されたとき、後方から、青いカゲが超速ダッシュで飛び出してきたんですよ。言わずと知れた戸田。いや、堪能させてもらいましたよ。

 この動きは、まさに、彼の「自信」を象徴するプレーでした。とにかく彼は、既に、日本代表にとって欠かすことのできない「中盤のファイター(心理ドライバー!)」といえるまでに成長しているのです。いや、素晴らしい。

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 ここで言いたかったことは、本来の実力を発揮しはじめたウクライナに対し、日本も、実力で十二分に対抗できたということです(どんな相手に対しても、持てるチカラを存分に発揮することができるようになった!)。だからこそ、このゲームが本物の「学習機会」になっただろうし、世界に対する「自信」も深められたに違いない・・。

 日本代表は、強くなった・・!? たしかに彼らは、「世界」へ向けて、大きなステップを刻みつづけています。ボール際の攻防や仕掛けのプロセス、はたまた安定した守備ブロックを見ていても、そのこと(自信と確信レベルの発展)が感じられます。

 「キーワード」は、やはり「自分から仕事を探す姿勢(≒リスクチャレンジ姿勢!)」っちゅうことですかネ。結局は、互いに「使い&使われる」という「メカニズム」に対する深い理解をベースにした「積極的に仕事を探す姿勢(≒インテリジェンス!)」が、あのレベルまで到達した選手たちの「今後」を決めてしまう・・ということです。

 たしかに俊輔や小笠原のプレーは活性化しています。特に、先日の「FC東京」戦での中村俊輔が魅せた『攻守にわたる!』ダイナミックプレーは、まさに「ビッグ・イメチェン」でしたからネ。だからこそ、彼らのプレーに大いなる期待をもっていたんですよ。そしてその期待は、結局は「グレーゾーン」で終わりました。要は、彼らには、まだまだ「証明」しなければならないことが多々残されている・・ということです。

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 さてこれで、ホームということでベストメンバーを組んでくるに違いないポーランドとの一戦が、もの凄く楽しみになってきたではありませんか。たぶんそこでは「現実的なチーム戦術」も試されるでしょうし、「海外組」も合流するでしょうからネ。

 とにかく今の日本代表は、リスクチャレンジをくり返すことで(要は、猛禽類の眼で、自ら仕事を探しながら)、世界に対する自信を深めていかなければならないということです。そうすれば、「カウンター・リアクション」として、チャレンジした者のカバーにも「自然と」入っていけるものなのです。それこそが、「リスクマネージメント意識」の高揚であり、「相互補完心理メカニズム」の活性化ということなのです。

 フィリップの「レベルを超えた刺激」に期待しながら筆を置く湯浅でした。

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 さて明日は、関空からヨーロッパへ移動。土曜日には、現ドイツ代表チームのコーチと「シャルケ04対カイザースラウテルン(ブンデスリーガ=ドイツプロ一部リーグ)」の一戦を観る予定。ハナシの内容は、彼の立場もあって、すべてを書くことはできないでしょうが、まあ「骨子(=普遍的な部分)」だけは、週間プレーボーイや他のメディア、そしてもちろん私のHPでもご紹介さし上げますので・・。では、行ってきま〜〜す。




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