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この低級サッカーの背景には組織的な体質があったりして!?・・天皇杯準々決勝・・ヴェルディー対フロンターレ(0-3)・・(2001年12月24日、月曜日)

どうも皆さん、ご無沙汰してしまって。海外出張の最後の数日は、色々なマネージメント業務に忙殺されてしまい、HPのアップまでは手が伸びなくて・・。

 帰国した早々の昨日(12月23日)は、中田ヒデが出場することを期待して、パルマ対フィオレンチーナ戦を観たのですが、結局彼の出番はなく、それでは・・と、フェイエノールトの試合を観ようと思ってチャンネルを回したら、こちらも、予定されていたはずのスカパーの中継がなくて(もしかしたら私の勘違いだったのかも・・)。時差ボケでフラフラになりながら頑張って観戦していたのに・・。

 何て・・ちょっとグチりながら、今日は「まず」天皇杯準々決勝のヴェルディー対フロンターレの一戦をレポートすることにします。他の試合についても、ビデオで確認し、ポイントがあれば書きますので。

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 あ〜あ・・。この試合、一部残留を決め、よしっ、今度は天皇杯だ!・・と気合いが乗ったヴェルディーを期待していたんですがネ。

 一体何なのでしょうか、彼らのサッカーは。ボールプレーヤーたちの「スタンディングサッカー」の饗宴・・ってな具合なんですよ。それ以外に表現しようがありません。とにかく、足許パスのオンパレード。これだったら、守りを固めて素早い蜂の一刺しを狙っているフロンターレの思うツボ。そして試合は、まさにその通りの展開になります。

 レポートする価値もない・・なんて、ヴェルディーのサッカーを観ながら思ったものでしたが、それでも、低級サッカーにしても、その原因を探ることには意味がありそうです。

 世の中の現象には、どんなモノであれ、常に何らかの「学習するための対象」が潜んでいるモノですからネ。それにしても、書くためのモティベーションを上げるのに苦労しますヨ、本当に。

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 ヴェルディーについては、もう何度も書いているとおり、今年のコンフェデレーションズカップ直前に行われた、ブラジル代表とのフレンドリーマッチの内容を基準に考えることにしています。そこで彼らが披露したサッカーと、この試合での彼らは、まさに雲泥の差。それも、サッカーがホンモノの心理ゲームだということの証ではあるのですが・・。

 とにかく選手の誰一人として、自分主体でリスクにチャレンジしていこうとする姿勢を見せません。パスを受けても、こねくり回して、横に止まっている味方へパスを出し、そしてその場に立ち尽くす・・、そんなシーンの連続なんですよ。フロンターレの守備ブロックも、守りやすいことこの上なかったに違いありません。

 基本的な「チーム力」では、明らかにヴェルディーの方が、一枚も二枚も上。それは、「テクニックベース」の個々の現象を見ていれば一目瞭然です。それでも、その「個人的なチカラの差」が、「チーム戦術的な差」としてグラウンド上に表象されない。それもこれも、個人のチカラが、チームとして連鎖していないことの証明なのです。一つの単発プレーが、次の単発プレーに移行していくだけ・・。フ〜〜

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 もちろんフロンターレの守備ブロックは、そんなヴェルディーの鈍重な単発攻撃を受け止めるには十分なチカラをもっいます。

 カチッ、カチッとボールホルダー(次のパスレシーバー)に対するマークを決め、そこから次のボール奪取を狙いつづけるのです。ということで、彼らの、ボールがないところでの忠実なマーキングは、見所が豊富でした。例えば、右サイドからのヴェルディーの攻め。そのとき、逆サイドのディフェンダーが、明確に決定的スペースへのラストパスをイメージしているのです。何度、ヴェルディーの「単発なウラ取りパス」に、フロンターレのディフェンダーが「最初に」追いつくというシーンを目撃したことか。チームのディフェンス戦術について、ハイレベルな意識付け(強固な、戦術的共通イメージ)を感じます。

 まあそれも、ヴェルディーの最終勝負のプロセスが、単純に過ぎるからなんですがネ。とにかく彼らの攻めは、セカンドアクションまでがいいところ。三人目、四人目によるボールのないところでのアクション(最終勝負のフリーランニング)は皆無なんですよ。タテの揺さぶりフリーランニングがない。ヨコ方向の揺さぶりフリーランニングもない。これでは・・

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 前半6分。フロンターレの久野が、ヴェルディーの壁に当たるラッキーな先制ゴールを奪ったのですが、特筆モノだったのは、その後も、ヴェルディーのプレーリズムにまったく変化が見られなかったことです。リスクチャレンジについては常に「アナタ任せ」・・、そして、詰まった状態での「アリバイシュート」ばかりが目立つ・・。

 中盤で起点が出来、さてこれから最終の仕掛けへ向かっていくぞ!という場面でも、前にポジションしている選手がその場をまったく動かないだけではなく、後方からの追い越しフリーランニングもない。お互いに、オマエ行けよ・・。

 ヴェルディーの攻撃で、フロンターレの決定的スペースを攻略したのは、2-3本くらいでしたかネ。たぶん彼らは、「このペースだって、いつかはウラ取りゴールを奪うことができるサ・・」ってな心理だったんでしょう。でもそれって、観ている方には、本当に失礼。常に全力で、高度なサッカー的価値(感動)を「売る」という姿勢が、プロとしての基本的な態度なのではないですかネ。

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 ヴェルディーは、組織体質的に低迷してしまっているようです。そのことは、まったく緊張感を感じない選手たちのプレーが如実に証明しています。

 とはいっても、選手たち自身が「サボろう・・」、「楽をしたサッカーをしよう・・」などと考えているとは思いません。とにかく「どこか」が発信源の「消極ビールス」がチームに蔓延していたこと(それが、どうせ走っても・・というマインドを助長する!)、そしてグラウンド上で、そのビールスを退治しようとする姿勢を見せる選手が出てこなかったことだけは事実として残ります。

 来シーズンのヴェルディー。サッカーに取り組む「姿勢」がこれでは、またまた降格争い・・ということになってしまう・・。彼らには、チーム内の「テンションレベル」を上げるための格別な刺激が必要なのでは・・

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 さて、これで準決勝のペアが決まりました。レッズ対セレッソ。そしてフロンターレ対エスパルス。

 私は、抜群に内容のあるサッカーを魅せているセレッソ(意地!?)と、調子を上げているレッズの激突を観戦します。久しぶりのレッズ。しっかりと見届けるつもりです。

 最後に告知です。毎年恒例になりましたが、湯浅は、天皇杯の決勝を、ラジオの文化放送で解説します。そちらもご期待アレ・・なんてネ・・。

 




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