トピックス


最後は実力の差(!?)・・アントラーズvsサンフレッチェ(2-1)・・(2001年3月11日、日曜日)


アントラーズでは、ファビアーノの穴は、羽田が十二分に埋めていましたが、相馬と熊谷の「パフォーマンス」は、やはりというか、完全に代替することができません。だから、中田浩二が、攻撃の最終段階まで絡んでいくシーンも希。ということで、柳沢、鈴木、ビスマルク、小笠原の前の四人に、両サイドの名良橋と中村がたまに上がってくる(サンフレッチェの両サイドからの攻撃が活発なことであまり前へ行くことができなかった!)という「定型」の攻撃陣容に変化が見えることはありませんでした。また、前後のポジションチェンジも見られませんでしたしネ・・。これでは、サンフレッチェも守りやすかったはずです。

 試合は、前半の最初のころは、たてつづけにアントラーズが決定的チャンスを作り出します。最初は3分の柳沢のフリーシュート。7分の、小笠原と柳沢のコンビから、最後は柳沢が決定的なセンタリングを上げたシーン。直後の、セットプレーからの中田浩二のフリーヘディングシュート。15分には、左サイドでの鈴木と小笠原のコンビネーションから、最後は、小笠原が、逆サイドでタテにフリーランニングにした柳沢へ・・フリーシュートがバーを越えてしまう・・。どうしてゴールが決まらないのか・・そんなことを思ったものです。

 逆にサンフレッチェの立ち上がりは、両サイドの藤本と高橋、中央の久保が絡んだスピーディーな攻めを繰り出しますが、いかんせん「変化」が乏しいことで、アントラーズ守備ブロックの「ウラ」を突くことができません。忠実でアクティブな中盤からの守備をベースに、積極的に押し上げてはくるのですが、最後のところで、どうしてもアントラーズ守備陣を崩しきるところまでいけないのです。サンフレッチェの攻めで、アッと思うようなシーンは、本当に数えるほどでした。

 また、久保の調子が心配で・・。たしかに良く動きはするのですが、たまにフリーでボールをもっても、自分から突っかけていくような積極リスクチャレンジが見られず、単にボールを「落として」次に走るだけ・・、それも、決定的スペースへではなく、次の「二列目スペース」へです。これでは・・

 でも先制ゴールは、サンフレッチェ。前半16分のことです。フリーキックからの上村のヘディングが、うまいタイミングでフリーになっていた、トゥーリオへ・・。

 そこから、俄然ゲームが活発に動き出します。19分には、またまた柳沢がフリーシュートまでいきます(下田が押さえる!)。逆にサンフレッチェは、35分に、左から上村が持ち込み、最後は高橋がフリーシュート。直後には藤本が見事なオーバーヘッドシュートを放ちます。また38分には、カウンターから、高橋からの(だと思ったのですが)センタリングを、ここぞ!のタイミングで「スッと前へ」動いた久保が、フリーのヘディングシュートを放ちます(羽田のマークが一瞬遅れた)。

 ゴールをはさみ、その前はアントラーズのチャンスメイクが目立ち、その後は、(やっと守備ブロックが落ち着いてきた)サンフレッチェの「サイドから」の積極的な攻撃が目立ちに目立ったという前半でした。

-------------

 後半は、サンフレッチェ攻撃の鋭さが減退していきます。まあ、トニーニョ・セレーゾ監督がいうように、アントラーズの守備ブロックが、「どこでボールを奪うのか・・」という明確なイメージを持てたということもあるでしょうし、サンフレッチェの攻撃が、ちょっとステレオタイプになってしまった(同じような展開の繰り返し)ということもあるんでしょう。

 それでも、アントラーズの攻めにも本来の鋭さが感じられなかったことも事実です。冒頭に書いたとおり、攻撃の「変化」が見られなくて・・。アントラーズの攻撃で特徴的なのは、前後左右の「ポジションチェンジ」をベースにした素早く広いボールの動き(ダイナミックな組織プレー)からの、タイミングの良い(イメージが完璧にシンクロした!)ウラへの走り込みと、そこへのタイミングの良いスルーパス(そこからの直接シュートや、決定的なセンタリング!)。それが見られない・・

 それでも、逆転ゴールを挙げたのは大したものではあるんですが・・。

 あっ、そうそう。小笠原のスーパーパフォーマンスには触れておかなければ・・。その逆転ゴールは、彼自身が、「これぞ才能!」という素晴らしいロビングシュートで決めたのですが、そんな派手にところだけではなく、攻守にわたる「泥臭い」活躍から、中盤でのクリエイティブな組み立てプレーまで、彼のパフォーマンスの高さに、順調に伸びているな・・と、一安心の湯浅だったのです。

 もう一人・・。前半の続けざまのチャンスをことごとく外し、どんどんとプレーがパッシブ(消極的)になっていった柳沢に代わって登場した本山。サンフレッチェの中盤での激しいチェックのために、得意の、二列目からのドリブル突破シーンはほとんどありませんでしたが、その代わりに、「ドリブルするぞ!」という態度から繰り出されたスルーパスが秀逸でした。一本は、中へ切れ込むことで相手を引きつけ、右サイドの名良橋へ出したスルーパス。もう一本は、これまた中盤でのタメから放たれた、鈴木への決定的なスルーパス(鈴木の走り出しタイミングも特筆!)。特に鈴木へのスルーパスは、美しいシーンでした。鈴木が、トゥーリオのプレッシャーを巧みに「押さえ」ながら、ベストのシュートポジションまで「タメ」て素晴らしいシュートを放ったのです(ギリギリでゴール左へ外れていく・・)。それは、それは美しい攻撃ではありました。

-----------

 ちなみに、両チームのシュート数ですが、前半は、アントラーズの「8本」に対し、サンフレッチェも「8本」。でも後半は、前半と同じシュート数を放ったアントラーズに対し、サンフレッチェは「3本」のシュートしか打てませんでした。そんなこともあって、タイトルに「最後は実力の差・・」としたわけです。

 ちょっとまとまりがなかったのですが、本日はこんなところで・・




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]