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「頭をつかってゲームをたのしもう(小峰書店)」刊行・・五冊組シリーズ・・「4刷り」です!(2001年12月)


<小峰書店刊>


やっと出来上がった子供向けのサッカーシリーズ本のうち、私が書き下ろした「頭をつかってゲームを楽しもう(戦術編)」が、「4刷り」までいきました。この手の本で、既に二万部。ビックリしています。

 このシリーズは、「小峰書店」から出版されたのですが、全部で五冊組。第一巻は入門編(タイトル=「サッカーはともだち」)。児童作家としてご活躍され、ご自身も子供のクラブを主催していた千葉幹夫さんが書き下ろしました。第二巻は技術編(タイトル=「ボールテクニックをみがこう」)。著者は、優秀な編集者で、私の最初の本、「闘うサッカー理論」の編集作業でも大いにお世話になった戸谷龍明さん。この方は、もうかれこれ40年以上はボールを蹴っている生まれつきのサッカーマンでもあります。またこの巻では、読売サッカークラブ時代の私の教え子の一人で、天才プレイヤーといわれた菊原志郎君(現、東京ヴェルディーのユースコーチ)も、全面的に協力してくれました。そして第三巻の戦術編(タイトル=「頭をつかってゲームをたのしもう」)を私が書き下ろしたというわけです。この本の表紙写真は、中田英寿選手。ご協力に感謝!!・・なのであります。

 その他、ルールと用語をまとめた第四巻、「これできみもサッカー博士」、ワールドカップ情報や名選手をまとめた第五巻、「日本から世界へとびだそう」があります(著者:滝本茂さん)。特に第四巻では、日本サッカー協会審判委員長の高田静夫さんに多大なご助言をいただきました。感謝、感謝です。また第四巻の「用語編」では、私もリキを入れて関わりました。

 という五巻組シリーズ。湯浅健二が「シリーズ監修」ということになります。

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 このシリーズを立ち上げるキッカケとなったのは、第二巻の著者、戸谷龍明さんが、「とにかく日本サッカーの将来を担う子供たちのために、何とか良い本を・・」と、私にアプローチしてきたことでした。私も、「子供にサッカーをどうやって教えたらいいのか・・」、「サッカーを通じて、息子との距離を縮めたいのだが・・どうもサッカーは苦手で・・」など、多くの子供の指導者の方々、お子さんがサッカーをやっているご両親の方々からメイルをもらっていましたから、何とか・・とは思っていたのですが・・

 とはいっても、子供向けの文章を書くのははじめて。自信がないことこの上なかったのですが、周りの方々からの良きアドバイスもあって、とにかく「リスクチャレンジがなければ自信を得ることだってできない!」と、書きはじめた次第。そして、かなり苦労はしたのですが、納得いく内容になったと自負しています。また他の巻も、良い出来に仕上がりました。著者の方々(特にプロジェクトリーダーの戸谷龍明さん)のご努力に対し、「レスペクト!(畏敬!)」です。

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 私の本で一番アイデアが必要だったのは、わかりやすい文章表現と「ビジュアル表現」の組み合わでした。でも、通常のコンピュータグラフィックスでは、様々な戦術ドラマや心理ドラマが錯綜するサッカーシーンを表現するには物足りない。考えたあげく、「ピンッ!」と一つのアイデアが浮かびました。「そうだ! マンガだ!」

 マンガだったら、微妙な動きのある「戦術シーン」の表現だけではなく、数秒間のドラマに詰め込まれている、選手たちの「心理的な動き」だって表現できるに違いない! そう思ったわけです。でも一体、誰に頼んだらいいの???

 そのときハッと頭に浮かんだのが、サッカーマガジンでも連載をつづけている望月三起也さん。望月さんのサッカー好きは有名ですし、私も、彼のマンガだけではなく、その深い洞察のファンでもありましたからネ。でも引き受けてもらえるんだろうか・・

 早々にアプローチ。でもやっぱり忙しすぎて・・。「そうですか、面白そうだし、やりたいな・・」とは言っていただいたのですが、とにかく抱えているプロジェクトがあまりにも多くて・・。「私は難しいですが、お話の趣旨の本だったら何とかお手伝いしたいし・・。では、いい人をご紹介させてもらいますよ・・」と、ご親切なお心遣い。望月さんにも、心から感謝なのです。

 そしてご紹介にあずかった方が、今回のシリーズにおける(私の巻だけではなく、他の巻も縦断して)ほとんどの「ビジュアル」を担当していただいた、マンガ家の「田辺節雄さん」だったというわけです。その「表現力」の素晴らしいこと。田辺さんご自身もサッカーが大好き。横浜国際競技場のすぐそばにお住まいなのですが(仕事場も、ご自宅のすぐ近くにあります)、そこでの試合は欠かさず見に行くとのこと。それも、ボールがないところでのドラマを見るために、スタジアム上段からの「俯瞰(ふかん)観戦」。本格的じゃありませんか・・

 また、掲載された写真は、優れた写真家であり、編集者でもある「渡辺智宏さん」。私も、彼の生き生きとした写真が大好きでしたから大歓迎でした。

 ということで、スタッフが揃い、本づくりがはじまりました。そして例によっての、七転八倒の「ブレインストラグル(要は、全方位の深い視点での本づくりという意味にご解釈ください)」。かかわった皆さんは、「とにかく良い本を作るんだ・・」というモティベーション満々で、紆余曲折の本づくりプロセスが進行していきました。本づくりのプロセスは、今でも本当に勉強になります。ということで私も、文章を仕上げるだけではなく、興味津々で、本づくりも「学習」させていただきました。

 秀逸だったのは、やはり・・というか、田辺さんの「マンガ」。私が、文章の中に「ここでは、フリーランニングのスタート狙うために、味方のボールホルダーだけではなく、相手の視線までもしっかりと意識している選手の、(心理的に)積極的な姿勢が表現できればベストなんですがネ・・」などと、小さなメモを挿入しておくだけで(もちろん本文中の場面描写に合わせて)「ピタリのイメージ」のマンガが上がってくるんですよ。本当に田辺さんってサッカーが好きなんですネ・・。感謝です・・

 ということで、田辺さんには、「新・五秒間のドラマ(仮題・・S社から出版予定)」に掲載する「マンガ」もご担当いただくことになりました。その文章は、おいおい私のHPでもアップしますので(もちろん田辺さんのマンガは、本でだけしか見られませんが・・)、ご期待アレ。

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 「湯浅さん・・この本は、子供たちだけじゃなく、指導者や、サッカーにあまり詳しくない一般の方々(観戦者の方々)にも読んでもらいたいですよね・・」

 小峰書店の編集長から、そんなハナシが出ました。たしかに、これまで私が発表した文章のエッセンスは、かなりのレベル凝縮できていると思いますし、文章自体も分かりやすくできたと自負しています(基本的な読者対象を、小学生から中学生くらいまでに設定してはじめたのです)。また表現力バッチリの「マンガ」も、たくさん入っています。

 「とにかくこの本を読んで、サッカーのメカニズムがよく分かっただけじゃなく、観戦したくもなりましたし、いっちょ前にサッカーを語れるようになったのかも・・なんて思うんですよ・・」と、前述の編集長氏です。

 まあ本当にそうならば嬉しいんですが・・。ということで、私のHPの読者の方々には必要ないにしても、周りのご家族の方々とか、友人の方々にお勧めいただければ幸いなんですが・・と思う湯浅なのです。もちろん、皆さんがお読みになって(立ち読みでも)納得されたらのハナシではありますが・・。そうです、出来るかぎり多くの方々にサッカーを語り合っていただくために・・




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