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例によって「魅力的な攻め合い」になった「2001年たらみオールスター」・・そして久しぶりの「イースト」の勝利・・イースト対ウエスト(4−3)・・(2001年8月4日、土曜日)

1990年イタリアワールドカップの決勝トーナメント、ドイツ対オランダ戦のことでした。「あのコト」を境に、ゲームが、本当に魅力的な攻撃サッカーになったのです。

 それは、ドイツとオランダの主力、ルディー・フェラー(現ドイツ代表監督)とフランク・ライカールト(前オランダ代表監督)の両者が、「ケンカ両成敗」ということで退場にされ、「10対10」のゲームになったからです。中盤でのスペースの「広がり」・・それです。そのゲームは、ブレーメの、目の覚めるようなシュートが決まってドイツが勝利をおさめました(この退場劇では、攻守にわたる中盤のコアであるライカールトを失ったオランダの方が確実に不利だった!)。

 その後、FIFAのテクニカル委員会が、「サッカーを10人でプレーするようにルール変更したらどうだろうか」なんていうアイデアを出したとか・・。中盤や最終ラインでの守備プレッシャーが厳しくなっていることで、才能のある選手たちが、美しいプレーを展開できなくなっているし、サッカー全体の「クリエイティビティー(創造性)」も低下の一途をたどっているから、ここは一つ・・ってな発想だったということらしいのですが。さもありなん。そのテクニカル委員会のメンバーには、ベッケンバウアー、プラティニなど「往年の天才たち」が名を連ねているんですから・・

 この「オールスターゲーム」を見るまでもなく、中盤でのプレッシャーが緩くなれば、自然と、選手たちの「美しい攻撃の源泉であるクリエイティビティー」が目立ってくるのもアタリマエの展開ですよね(もちろん、たらみオールスターゲームは、11対11でしたがネ・・)。フム・・

 ちなみに、FIFAテクニカル委員会で話し合われたアイデアは、プロ選手協会から大ブーイングを受けて「お蔵入り」になったということですが、テクニカル委員会では今でも、オフサイドラインを、ペナルティーエリアの直前まで「下げる(攻撃側にとっては上げる!)」ことで中盤プレッシャーを「緩和」しよう・・といったアイデアがくすぶっているとか・・。

 「モダンサッカーの攻撃におけるメインテーマ」は、何といっても、相手プレッシャーをいかに「かわして」いくのかということです。そのために「現場」は、知恵を尽くしているのですが、もしここで「人為的」なルール変更があったら、現場の「戦術的な発想のベース」を根底から作り直さなければならなくなる・・。オフサイドルールの変更は、それが「サッカーにおける唯一の人為的なルール」であるために、「戦術」に対して、本当に大きな影響を与えてしまうのです。まあこのことについては、また機会を改めて・・

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 私が言いたかったことは(ちょっと前段が長くなりすぎましたが・・)、相手の守備プレッシャーを「外す」ためにもっとも有効な「手段」は、言うまでもなく「活発な(素早く、広い)ボールの動き」だということです。

 その意味で、このゲーム前半での「ウエスト」は傑出していました(対するイーストでは、どうしても中村俊輔のところでのボールの動きの停滞が目立ってしまって・・)。

 そんな、ウエストの活発なボールの動きの「コア機能」を果たしていたのが、韓国代表のユン・ジョンファン(セレッソ大阪)。ボールが、彼を中心に面白いように「走る」んですよ。別な見方をすれば、彼のところに、「次の仕掛けを頼んだゾ!」という正確なパスが集まってきていたということです。周りの選手たちの、ユン・ジョンファンに対する強い信頼が見えるじゃありませんか。そしてユンも、その期待に十二分に応えたというわけです。

 前半の、カズが決めた勝ち越しゴールの場面。たしかにアレックスのヒールパス、カズの落ち着いたダイレクトシュートは見事でしたが、私は、そのゴールをアシストしたユン・ジョンファンの、ここしかない(中西とGK川口の間のスペース)という「トラバース・ラストパス(相手GKと最終守備ラインの間を、ゴールラインの平行に通すラストパス!)」に大拍手を送っていました。アレックスのヒールパスにしても、ユンのタイミングのよい飛び出し(決定的フリーランニング)があったからこそ出てきた「魅惑プレー」でしたからネ。

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 後半は、ホン・ミョンボ、チェ・ヨンス、柳沢が登場し、中盤でのボールの動きも改善されたイーストもペースを上げ、試合が、「エキサイティングに拮抗」してきます。

 「守り合い」ではなく、お互いが「イーブン」に、どんどんと積極的に攻め合うという何ともエキサイティングな展開になってきたのです(もちろんそれは、中盤でのプレッシャーが緩いためですヨ!)。さすがに、優秀な選手たちを集めた「お祭りゲーム」ってな具合。観ている方にとっては、こたえられないサッカー。これで、サッカーファンが増えてくれれば・・、これで、ファンの方々が、サッカー本来の楽しさ、美しさを再認識してくれれば・・なんて思っていた湯浅でした。

 そんな「自由な雰囲気」のなか、中村も、本来の「才能」を十二分に発揮しはじめます。柳沢がPKを「取った」シーンでのスルーパス、また、柳沢がハットトリックを完成させたイースト四点目での「サイドチェンジ・ラストパス」。いや、美しい。

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 アッと・・。後半3分に、ウエストGK楢崎が、柳沢を倒したということで取られたPKですが、アレは、柳沢の「絶妙の演技」が大成功をおさめた(うまく、世界のトップレフェリーのミスジャッジを呼び込んだ!?)シーンだったと見えました。

 あの瞬間、柳沢は、セービングして飛び込んできた楢崎を、完璧に「外して」いました。でも「カットした」ボールが、ちょっとオーバー気味に前へいってしまったために、蹴り足だった左足を、跳ね上げるのではなく逆に「伸ばす」ことで、「本当にうまく」楢崎の身体に当てて倒れ込み、PKを取ったと思うのです。

 「マリーシア!?」。まあ、「あの体勢、あの状況(飛び込んできた楢崎は、柳沢のカットに完全に外されていた!)」になったら、もう攻撃側のもの。勝負をかけて「飛び込んで」きた楢崎のセービングが外されたこと(楢崎の、正直に過ぎる動作も含めて)が全て。その瞬間に「勝負アリ!」だったことに変わりありませんが・・。

 少しでも楢崎の手が「先」にボールに触っていれば、今度は、いくら柳沢と「事後的に交錯」してもファールは取りにくいですし(あくまでも、交錯の状態・タイミングによって判断は大きく変わる!)、逆に、楢崎の「柳沢の身体を避ける」という動作がもっと「明確」だったら、今度は、柳沢が「イエロー」をもらう番になったかもしれません。

 それは、まさに天国と地獄を分ける「紙一重の瞬間」だったというわけです。一度ビデオを見返してみたらいかが・・

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 ところで、冒頭で紹介した、フェラーとライカールトの両者に対してレッドカードが出された小競り合いの「発端」ですが、それは、ライカールトの「飛び込み」を、うまいカットで外したフェラーが、ボールを前へ押し出し過ぎてしまったことで(そのまま突進してもオランダ守備陣にボールを奪われてしまうと瞬間的に判断したことで)、「わざと」後足だった左足を伸ばして残すことで、スライディングを仕掛けたライカールトの身体にぶつけ、転倒することでファールを「取った」という「マリーシア(!?)プレー」でした。そのプレーにライカールトが「切れ」、またフェラーもライカールトのオーバーリアクションに対して「ヒドイこと」を言い返すなど、コトがエスカレートしてしまったのです。

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 ちょっとハナシがそれてしまいましたが、とにかくこのゲームは、「戦術的な拘束からリリース」された日本の才能たちが、サッカーの魅力を十二分に表現してくれたという意味で、日本サッカーにとって大いなる価値のあった「オールスターマッチ」ではありました。もちろん、久方ぶりに「イースト」が勝利をおさめたことも含めてネ・・。

 ではまた・・

 




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