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ちょっと辛口ですが・・天皇杯三回戦・・浦和レッズvs川崎フロンターレ(2−0)・・(2000年12月10日、日曜日)


「早く終わらないかな〜〜」・・不謹慎ではありますが、試合中、本当にそんなことを思っていました。

 それほど、「内容」がないゲームだったのです。もちろんボール周りでは、魅力的な「単発アクション」もありましたが、それが継続しない・・。早く終わらないかな・・は、ちょっと言い過ぎかも・・スミマセン。

 要は、守備でも、攻撃でも、サッカーの醍醐味である「スペースのせめぎ合い」という雰囲気が出てこないのです。攻撃においてスペースを使うためには、ボールがないところでの積極アクションが欠かせません。それが、(全体的には)両チームともに、ボールの動きが「足許」ばかり。それも、止まっている選手たちの「足許」なんです。フ〜〜

 例えばレッズでは、先制ゴールを決めた岡野は、(最初の頃は!)常に「前のスペース」を狙っていました。ドリブルでも、フリーランニングでも。それでも、周りの選手たちの「心理的・物理的」な意識が活発ではないから、その「積極マインド」も、結局はチーム全体の雰囲気に「呑み込まれ」てしまい、ダイナミズムのカケラも感じられない「スタティック・サッカー」に陥ってしまって・・。そのことはフロンターレでも同じです。もちろん前述したように、たまには魅力的な「単発アクション」も出てくるんですよ。ただ全体的には「ボール周り」だけ・・。これでは、人に感動を与えられるサッカーを展開できるハズがありません。

 また守備でも同様です。スペース感覚・・それは、美しい「読みベースのインターセプト」などに現れてきます。それがまったくなく、ボールの奪取は、相手のパスミスか、ボール周りでの、「ガチャガチャ」というノイズが聞こえてきそうな「美しくない」競り合いのどちらか・・。もちろん、両チームともに「足の止まったスタンディングサッカー」ですから仕方ないのですが、とにかく何をかいわんや・・。  でもだからこそ、一方のチームが、(もちろん中盤から!)予測ベースのアクティブ守備を展開したら、完璧に試合ペースを牛耳れるのに・・

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 前半16分のレッズ先制ゴールは、岡野の、素晴らしい「自分主体アクション」から生まれました。右サイドでボールをもった岡野。そのままドリブルでタテへの突破を図ります。そして「タテへ行くぞ!」という意識的なフェイントから、絶妙のタイミングで、アジエルとの「ワンツー」を決めて抜け出し、そのままフロンターレGKまでもかわしてシュートを決めたのです。

 ここで、フロンターレが「目を覚ます」のでは・・なんて期待したんですが、実際には、動きのないスタティックサッカーが続いてしまって・・。

 後半の23分に小野伸二が追加ゴールを決めます。素晴らしいアクションでした。でも全体的には、「例によって」低調なプレー内容だったと言わざるを得ません。たまに魅せる、攻撃での「単発アクション」からは、彼のレベルを超えた才能を感じるですが・・

 もう何度も書いたように、彼は、「クリエイティブな無駄プレー」に対する理解を、真剣に深める努力をしなければならないと思います(要は、もっと『クリエイティブな運動量』を多くしなければ・・ということ)。「確実にパスがくるような」決定的シーンではフリーランニングを敢行します。でも、それ以外の「プロセス段階」では、動かずに状況を見ているだけ・・というシーンが目立ちすぎます。

 そのことは守備でも同じ。自分がボールを奪い返せる場面でしか(アッ、取れる・・と思ったときだけしか)アクションを起こさないのです。アクションを起こしても、実際にボールを奪い返したシーンは皆無。また、相手の攻撃に対して(はじめは)積極的に守備参加していたのに、「途中」で足を止めてしまうものだから、逆に守備の「穴」を作ってしまう・・なんていうシーンも続出でした(フロンターレの攻撃が低調だったから助かったシーンも多)。

 (いつものように?!)小野には、かなり辛辣。でも、あれほどの「才能」をこのまま腐らせるわけにはいかない・・。冗談抜きで、私は、日本やドイツ以外でも、多くのフットボールネーションにおいて、「才能ある若手の伸び悩み・・そしてサッカーシーンからの消滅」という現象を経験してきました。だからこそ、本当に小野伸二のことが心配なんです。

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 フロンターレは、良い仕事をしていた小林監督の交代が既に決まっているということで、モティベーションが完全に崩壊してしまったようです。

 小林監督になってからのリーグ戦では、「持てるチカラを100%(常に限界まで)発揮した」素晴らしい内容のゲームを展開していたのに・・。私は、そのころのフロンターレの「プレー姿勢」に感動さえ覚えたモノなのです。それが・・

 またレッズでは、「一部昇格」が決まったことで(?!)、明らかな選手たちのモティベーションダウンを感じます。この試合でも、多くのレッズファンの方々が、最後まで大迫力の応援を繰り広げていたのに・・。彼らには、「プロとしての義務」、つまり「価値交換」という市場原理をしっかりと自覚させなければなりません。「感動」の「か」の字も感じさせない低調な試合内容であることは、選手たち自身が一番よく分かっているハズですからネ。

 退屈なゲームを見せられた憤りもあったんでしょうか・・ちょっと辛口のコラムになってしまいました。ではまた・・




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