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「ワタシたち(ボクたち)のワールドカップ」!!・・素晴らしいキーワードじゃありませんか!・・日韓サッカージャーナリスト会議・・(2000年11月9日、木曜日)


今週は、火曜日(11月7日)、水曜日(8日)と、新潟で行われた「日韓サッカージャーナリスト会議」に参加したため、「J-ワンポイント」はお休みにします(いや・・、いくつかの試合はビデオでとってあるので、テーマが見つかったら書くかもしれませんが・・)。

 ということで「日韓ジャーナリスト会議」。テーマは多岐にわたり、内容的にも、非常に面白い(充実した)ものがありました。もちろん私にとっての「学習機会」という意味も含めて・・

 全ての内容を網羅するには時間が必要なので、今回は、「内容」の中から、もっともインプレッシブだったものをいくつかピックアップすることにします。

 あっ・・と、まず会議の「性格」から紹介しなければ・・。

 この「日韓サッカージャーナリス会議」は、大先輩の「牛木素吉郎さん(経歴については書く必要ありませんよね・・)」、財徳健治さん、大住良之さん、後藤健生さんなど、サッカーライターズ協議会メンバー、新潟日報社、2002ワールドカップ新潟県開催準備委員会、そして新潟県サッカー協会が主催で、「日韓のサッカージャーナリストの交流と情報交換」を目的に、11月7日〜9日の三日間、新潟のオークラホテルで行われました。

 テーマは、ワールドカップと日韓関係、韓国のスポーツ(サッカー)事情、分科会として、ワールドカップにおけるメディアの役割や、両国のワールドカップ準備状況など、そして会議の最後には「日韓ワールドカップを成功させるために・・」というシンポジウムも行われました。いや、面白かったですよ。

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 今回は、そのなかから、三つだけ取り上げさせてもらいましょう。

 まず「分科会・・メディアの役割」において、様々な意見が出された最後を飾って飛び出した、これまた大先輩の「中条一雄さん」の発言(この分科会を取り仕切っていたのは、東京新聞の財徳さんと、韓国日刊スポーツ新聞の部長、朴 載永さん・・素晴らしい財徳さんの司会のなか進行したのですが、最後は財徳さんも、中条さんの発言に乗っかって会議を締めたというわけです)。

 「色々なことをいっているけれどさ・・。我々ジャーナリストの役割のもっとも重要なところは、サッカーの素晴らしさ、楽しさなんていう根本的なところを、一般の生活者の人々に分かりやすく伝えていくっちゅうことだろう。湯浅クンがいうようなキーワード・・何ていったっけ・・?? 国際と自由か?! そんなことじゃないんだよ。だからさっき李クンが言った、アジアカップ決勝の次の日、まったくサッカーに興味がないマンションのお隣さんから、『日本、勝ちましたネ・・』なんて言われてものすごく嬉しかった・・という発言が、この分科会のまとめみたいなもんなんだと思うよ・・」

 いやごもっとも。おっしゃる通りです・・。ちなみに「李クン」とは、フリーランス・ライター「李 春成さん」のことで、「湯浅クン」というのは、私のことです(ちょっと、ブッてしまったもので・・アハハ・・)。

 もちろん私も同じことが言いたかったんですが、さすがに中条さん・・ではありました。とかにく、人々に「元気」を与えるのがスポーツの本質・・ということです。それだけじゃなく、中条さんは最初から、チャキチャキのジャーナリストらしく、歯に衣着せない「ストレートな指摘」をエネルギッシュに連発! いや、あのお年で・・(失礼!!)。やはりサッカーは、年齢、性別、言語、文化、人種、民族に関係なく(人類史上最高の『異文化接点パワー』を持つサッカー!!)、全ての人々に活力を与えるんですネ・・なんて変なところで感心したりして・・

 ちなみに中条さんは、朝日新聞のご出身(週間朝日でも最近までダイナミックな連載を続けていました)。今は退職され、「フリーランス」として健筆をふるっています。いや、大したものです・・

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 さて、湯浅が触発された二つ目ですが、それは、シンポジウムでの、新潟日報新聞編集委員、「篠田昭さん」の発言です。

 要約しますと(私のメモをそのままコピーします!)・・『新潟でのワールドカップ・・地域の「誇り」と「自信」を得るため・・そう目的を設定すれば、おのずと次の活動方針が見えてくる・・新潟を「世界へアピール」するために・・また、新潟には「梅雨」がないというポジティブなところもある・・キーワードは「新潟が、ワールドカップを自身が楽しむ・・市民が接点を持つ・・ワールドカップに参加する・・やり方は色々だが、最後は市民の一人ひとりが『ワタシたち(ボクたち)のワールドカップ』と実感し、とことん(自分たち主体で!)楽しむ・・それじゃありませんか・・』

 素晴らしい「発想」ではありませんか。まず「全体的な目的」を明確にし、イベントを共有する市民の「感性的な姿勢」までにも方向性を持たせる・・

 それは、湯浅が、もっとも共感をもった「発言」の一つでした。そうです! ワールドカップは、「生活者のためのもの」なのです。生活者の、生活者による、生活者のための「人類史上最高・最大の世界イベント」・・。素晴らしい「基本的な姿勢」だと思います。その姿勢が、「JAWOC」にも浸透すること(組織を構成している意志決定者たちが、その基本的な発想、コンセプトを心から共有する!!)を願わずにはいられません。

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 最後が、言わずと知れた女性ライター第一人者、増島みどりさんがテーマとして提議した「ボランティア」・・

 これについても、私の「メモ」を、そのまま・・『ボランティアについて・・ニューヨークマラソンでは24000人いた・・ボランティアの活動が大きなスポーツイベントの成功の秘訣・・シドニーでは47000人・・フランスワールドカップでは12000人だが、それにプラスして15000人のパートタイマーもいた・・ボランティアの意味は、無報酬というのではなく、語源的には「自由意志」・・そして日本には、十分に素地がある・・』

 これも素晴らしいテーマです。そうです。ワールドカップの「主役」である、世界各地から日本へ来る「生活者」の人々の「最終的な印象」を決めてしまう要素の大きな部分を、この「ボランティア」が担っていることは事実なのです。

 これについても、彼らを組織する「JAWOC」に対し、『覚醒した真摯な対応』を望まないわけにはいきません。もし彼らが、ボランティアの皆さんの「積極的な、そして善意の自由意志(最終的には自分自身のため・・積極的に自分自身が大会を楽しむため・・自分自身の社会的なアイデンティティーのため・・など?!)」を、『官僚的』に、「上意下達」という態度であつかった時点で、ワールドカップという世界大会の雰囲気が、かなりの部分でぶち壊しになるのは目に見えているのです。

 とにかく「JAWOC」、「KAWOC」には、ワールドカップが、ひいていえば「サッカー」そのもの自体が、基本的には「生活者」のためのものであり、彼らは、(FIFAとの厳しいネゴシエーション、両組織委員会の密な協力関係も含め)それを組織的にオーガナイズしていく手助けをしている・・という基本的な姿勢を期待する湯浅なのです。

 それがあって初めて、ワールドカップでの「成功」という、評価基準が「あいまい」なテーゼの「ベクトル」が見えてくるのではないでしょうか。私は、誰に何と言われようと、とにかく「まず」自分自身が「自分主体」で、心底楽しんでやる!! と思っているのです。




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