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いいじゃありませんか、『融合』日本代表・・日本フル代表vs中国代表(0−0)・・(2000年3月15日、水曜日深夜)

いまやっと東京のオフィスに戻ってきました。昨夜は、夜中まで文章を書いてアップデートしようとしたところ、私の「パワーブック」に内蔵されているモデムがダウン! ゲッ!! なんて思ったものですが、現実を素直に受け入れなければ・・と床に入り、朝一番で東京に戻ったというわけです。今は「Ether Net」ですから問題ありませんが、さてどうしようか・・

 私は「モーバイル・オフィス」のコンセプトを、ほぼ「90パーセント」は達成していると自負しているのですが、それでも、頼みのコンピューターが、それも通信の生命線であるモデムがポシャッてしまっては・・。(今ではISDNの公衆電話が普及していますから、まつたく問題なく公園でもキャフェでもオフィスにすることができたのですが・・)よ〜し、意を決して「PHS」にするか・・なんて、神戸からの新幹線の中で考えていたって訳ですよ・・

 それでは、昨日の文章です・・

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 いま、新神戸のホテルにもどってきたところです。夜中の11時30分、フ〜〜

 この試合については、今週の「2002」でも書くつもりですから、今日の「HP」は、重要ポイントに関するファーストインプレッションだけを簡潔に・・

 まず、今回の相手が非常に強かった・・という前提から入りましょう。技術がしっかりしている中国は、中盤でのクレバーな組み立てはあまり見られなませんが、そのアグレッシブなリスクチャレンジは特筆もの。守備面でも、非常にうまく組織され、ミスがありません。それも、うまくファールを使って(手の使い方が抜群)・・。そして何より、身体の大きさも含めた彼らのフィジカル能力の高さに舌を巻いたものでした。

 シュート数では、「13対5」と日本が圧倒していたし、決定的チャンスも三本から四本はありました。それが、強い中国の守備ラインをかなりのレベルで崩して作り出したチャンスだったから、相手のソリッドな強さを考えれば、(ゴッド領域の?!)ゴールがなかったとしても、ある程度は満足すべきでしょう・・

 特に、後半11分、小野に代わって服部が起用され、それまで左サイドだった名波が中央に入ってからは、リズムが完全に日本のものになりはじめます。そして21分に中村が入り、そのリズムがホンモノの勢いにまで高まります。左サイドは、名波と中村が、見事なまでに「縦横無尽」に入れ替わります。これはトルシエから指示されたのでしょうか・・。いや、私はそうは思いません。それは、名波と中村の、自分たちの判断と決断を主体にした、互いの能力を認め合う信頼関係をベースにした「あ・うん」の呼吸だったと思うのです。

 やはり、「やらされている・・」という姿勢の選手は、確実に最後は使えないし、頼りにもなりません。その意味でも、名波と中村のアクティブプレーの姿勢を、心底、頼もしく思ったものです。

 とにかくその後は、どんどんと縦横無尽にポジションチェンジを繰り返す中田、中村、名波が・・、はたまた左サイドの服部や右サイドの望月が、本当に「水を得た魚」のように生き生きとアクティブプレーをはじめました。見ていて楽しい限り・・

 小野ですが、前半最初の五〜十分間は、「アッ、今度は何かやりそう・・。自分が中心になってどんどんと仕掛けていきそう・・」と、彼の『攻守にわたる』積極プレーを見て思ったものです。ただその後は、まず「下がりすぎ」、また下がっても、肝心のところでは「淡泊ディフェンス」に終始し(ファールしてでもボールを奪いにいくという気迫がまったく感じられない・・マークに付いていかなければならない中国の二列目選手を簡単にフリーランニングで上がらせてしまう・・など)、また攻撃でも、「例によって」の、オレはパサーだ・・という姿勢が見え隠れします(彼自身はそんな意識はないのでしょうが、プレースタイルが、まさにそれ!)。

 もちろんたまには自分からフリーランニングしてパスを受けようとしますが、それは「決定的フリーランニングの場面」がほとんど。中盤の組み立て段階で、どんどんと走り回って「パスを呼び込む」ような姿勢が見られません(この意図をもった動きをすれば、もっと周りが見えるようになるのに・・自分主体で、自分中心にボールを回してやるという意識のことですよ!)。またボールを持ったら、どうしても「クリエイティブなパス」を狙いすぎ。だからパスタイミングが遅れ、決定的パスか「逃げの横パス」のどちらか・・といった様相を呈してしまいます(その点でも中田を見習うべき・・)。

 どうして、もっと動き回ることをベースに、シンプルにプレーする中で「勝負場面」に自分自身が入り込むことをイメージしようとしないのでしょうか。何度か、「ワンツー」の場面で、「ワン」のパスを出したまではよかったものの、そのまま「パス&ゴー(ムーブ)」のダッシュをしなかったから、パスをもらった味方からの展開が詰まってしまったシーンを目撃しました。

 そんなふうに、小野のところで攻撃のリズムが中断してしまっている・・、また、彼が守備に入っても「最後までは信頼できない」・・という印象を持っていたのですが、たぶんそのことはチームメートたちも感じていたに違いないと思うのです。

 あれほどの「才能」なのに・・。このことについては、また別の機会に触れることにしましょう。それでも、前から比べればかなり伸びてはしています。ちょっとだけ「発想」をいじれば・・。とにかくガンバレ、小野伸二!!

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 この試合では、「大きく発展するポテンシャルを秘めた『融合』日本代表チーム」の可能性を大いに感じたものでした。

 素晴らしい能力を秘めていることを「再び」証明した松田、稲本。「ナカナカ名トリオ」なんて命名しちゃいたくなる、中田、中村、名波。これに、アンダー23からも何人か「上がって」くるでしょうし、本格的センターフォワードタイプの久保、また復活の兆しを強く感じさせる柳沢などもいます。

 トルシエについては、「フラットスリー」(つまり『ブレイクポイント』を極限まで遅らせるフラット守備ライン)にこだわりすぎ・・など、戦術的な柔軟性に欠けるのかも・・なんて、以前の「2002」のコラムで書きました。それでも、今日の松田の「柔軟なブレイク(ラインを崩して、守備の最終勝負に挑む瞬間)コントロール」を見ていて、ちょっと安心しました。選手たちは、必要とあらば、フラットスリーの中央の選手が「前気味のリベロ」的にだってプレーできるのです。フラットスリーは、最後には相手の攻撃が集中する中央に「人数をかけた守備戦術」ですから、けっこう『汎用性』は高いんですよ(このことについても、別の機会に触れましょう・・)。

 また、「何か失うモノ」を心理的に抱えてしまい、「言われたことしかやらない(自分主体のリスクチャレンジにトライしない=「守り」に入ったプレーに終始する)」選手たちは、自然に淘汰されていく・・。そんな雰囲気が、今のトルシエ日本代表に、顕著になってきたように感じます。いいじゃありませんか・・

 トルシエは、「戦術的にプレーの可能性を制限する傾向が強い」と言われます。ただ実際のところは、トルシエは選手たちを試しているに違いない・・と思うのです。戦術は「70パーセント」、残りの「30パーセント」の個人の部分が大事だ・・なんてネ。

 とはいっても、(心理的に問題を抱える)選手たちに「30パーセント」の意味を、もっと明確に示唆した方がいいのでは・・?! 例えば、各クラブの監督たちや、協会とも、もっと頻繁に、ディープにコミュニケートすることで、「間接的」に、選手たちに対する効果的な「心理マネージメント」をオーガナイズするとか・・。まあそれも、プロ監督の「キャパ」のうちか・・。そのことも「2002」で、「外部とのコミュニケート能力にちょっと不安あり」なんて書きましたがね・・

 明日は、もうちょっとアタマをスッキリさせて書けるかな・・。ということで今日はこのあたりで。オヤスミなさい・・




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