トピックス


大変なコトになってきました・・「J−2」・・浦和レッズ対大宮アルディージャ(1−0)・・(2000年11月16日、木曜日)


浦和レッズが、大宮を「1-0」でしりぞけ、大分トリニータが平塚に「2-0」で勝ったため、「J−2の昇格リーグ」は最終節までもつれ込むことに・・

 レッズ対アルディージャですが、立ち上がりは、レッズが、ガンガンと攻め込んだだけではなく、実際に決定的なチャンスを何本も作り出します。そして大柴が、三度目の正直で先制ゴールを決めてしまいます(とにかくアルディージャの、勝負所でのマークの甘さが目立ってしまって・・)。

 ゴールシーン・・・アルディージャの攻撃をはね返したレッズが、小野、路木とボールを回し、完璧なカウンターの状況で、路木から素晴らしい「決定的ロングスルーパス」が飛び出します。相手最終守備ラインの「頭を越える」素晴らしいロングラストパス。それを、ベストタイミングで抜け出していた大柴が、美しい「ダイレクト・ロングシュート」を決めたのです。

 大柴のシュートタイミングがあまりにも素早かったために、アルディージャGKもまったく反応できません。それにしても、見事な、見事な「ダイレクト・ボレー・シュート」ではありました(クビツァの代わりに大柴を起用したベンチワークに拍手!)。

 これで楽になったレッズが、実力の違いを見せつけるのでは・・なんて思っていたのですが、展開は、そのまったく逆になってしまって・・

 ゴールを境に、それまで「いい加減」だったアルディージャの守備ブロック(ライン守備システムはいいんですが、『最後の瞬間』には人を見ていなければ、単なるザル守備システムだよ!!)でしたが、そこから彼らのマークが「キッチリ」としたものになり、それに伴って中盤守備もアクティブに・・。逆にレッズは、全体的に「停滞サッカー」へ落ち込んでいきます。

 そして後半は、「どうしてアルディージャの同点ゴールが入らないの??」・・なんていう展開になってしまいます。今年のレッズを象徴するようなサッカーだった・・?! まあ、そう言えなくもないかも・・

 この「形勢の逆転」は、どちらかというと、レッズの方に非があります。というのも、彼らの中盤での守備が、明らかに足の止まった受け身プレーに終始するようになってしまっていたからです。

 サッカーは面白いモノで、中盤での守備が「停滞」したら、確実に「次の攻撃」もカッタるいものになってしまうんです。要は、中盤での「意図的な(固い決意の)ダイナミック守備」が、次のアクティブな攻撃につながる・・ということです。逆に、受け身の守備を繰り返すことによって、ボールを奪い返しても(多くは相手のミスから・・)、次の攻めで「足」が止まり、結果としてボールの動きも鈍重になってしまいます。

 中盤ディフェンスにおいて、相手の「次のボールの動き」を予測し、数人が素早く反応するような「プレス」をかけて奪い返すことができたら、彼らのアタマには、「ヨシ! ここだ!!」という気合いが充満するに違いありません。それが、(次の攻撃における)活発な「ボールがないところでの動き」につながり、結果として、素早く、広くボールが動く、ダイナミックでクリエイティブな攻撃を仕掛けることができるのです。

 ただ逆に、相手のボールの動きに「反応」するだけの消極守備をくり返している場合、いくら(相手の仕掛けのミスなどから?!)ボールを奪い返したとしても、「次の攻めに対するイメージ」が光り輝くことはありません。だから、自分たちがボールを持っているにもかかわらず、チーム全体の動的パワーも上がらず、結局は「足元パス」ばかりになってしまい、最後には相手に簡単にボールを奪われてしまう・・。それこそ「悪魔のサイクル」というわけです。

 そんな「ネガティブ・サイクル」を断ち切るための唯一の方法が、関わる選手たちすべてが、全力で参加する「中盤でのアクティブ守備」なのです。一人が爆発的なチェイシングを仕掛ける・・、そして「次」、そのまた「次」のパスを読んだアタックに、「複数」の選手たちのイメージが統一される・・、それです。

 「前から!!」、なんていうキーワードがありますが、この日のレッズのは(特に後半!)、そんな「自分主体」の積極姿勢が前面に押し出されることはありませんでした。「試合の流れに対する鋭敏な感覚」が、かなり失われてしまっているのかも・・。これでは、「J−1」に上がったとしても、先が思いやられる・・

 「J−2」だからこそ、全力プレー(120%パフォーマンスのプレー!)を続けなければならない・・常に「J−1」を意識して・・これまで湯浅は、そう言い続けていたのですが・・。まあそれも、監督の「意識付け」の能力によるところが大きいわけですが・・

 「これから」の、横山総監督のお手並みを拝見することにしましょう。

---------------

 さて最終節。レッズは鳥栖と、大分は大宮と、それぞれ「ホーム」で対戦します。勝ち点差は、わずかに「2(レッズのリード!)」。また得失点差では、ともに「+41」で並んでいます。総得点では、レッズが「1点」リードしてはいますが、状況的には「何が起きても」おかしくない・・

 J-2の「昇格リーグ」は、J-1の「降格リーグ」同様に、最後の最後まで熱を帯びてきました。さて、見逃せなくなった・・。三日後の日曜日に行われる最終節が今から楽しみで仕方ありません。




[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]