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やっぱり若手を中心にするしかない?!・・カールスバーグカップ、日本代表vsホンコンリーグ選抜(0-0・・PK戦、6-5)・・(2000年2月8日、火曜日)

ホンコン選抜の、最終守備ライン中央と守備的ミッドフィールダーの強いこと・・。日本代表は、たしかに全体的には試合の流れを牛耳っているとはいえ、ほとんど相手守備ラインを崩すところまでいけません。

 ホンコン選抜には、「中国系」は三人だけ。キャプテンの中国系選手、「ジャン・チュー・チャン」のプレーからは、そこそこの能力の高さを感じましたが、他の二人の両サイドバックは、はっきりいって「穴」。(前半の)日本代表に、もっともっとそこを集中的に崩す明確な「意図」を見せて欲しかったと思ったのは私だけではなかったに違いありません。

 日本代表の試合内容は、メキシコ戦同様、勝負ドリブルや決定的パストライなどの「リスクチャレンジ」が見られないというカッタルいものです。安全にボールを動かしているだけでは、相手に「次」を読まれてしまうなど、「何か」を起こせるはずがありません。

 試合後のインタビューでトルシエ監督が、「メディアには、(根拠のない?!)ネガティブ論調が、チームの士気を殺ぐということに対する配慮をお願いしたい・・」と述べていたと聞きます。

 ただこの試合内容は、根拠のある批判の対象になります。なにせ、総合的な能力は十分なのに、あまりにも本当の意味での仕掛けに「トライする姿勢」に欠けていたのですからネ。それは、選手たちの「意識の低さ」の証明であり、そのことについては監督も責任を負わなければなりません。もちろんだからといって、これまでのトルシエ監督の、優れた「グラウンド上の仕事」の内容が否定されるわけではありませんが・・

 あるワンシーン・・。中盤で一人がボールを持ち(これが誰だったか特定はしませんが・・)、素早く右サイドでフリーになっている味方へパスを回す。その時点で相手守備ブロックが、その右サイドへ引き寄せられるのは当然であり、最初にボールをもった選手が「そのこと」をもイメージに入れて右サイドへパスを回したとばかり思っていたのですが・・。結局その選手が、「空いた」左サイドスペースへ走り上がる(またその意志を見せる)ことはありませんでした。

 また、タテへの勢いがタマっている状況で、タテのスペースを使うことを意図した「パス&ムーブ」を忠実に実行する姿勢が、極端に低かったことも目立ってしまって・・

 守備が不安定だったから?! たしかにそのこともあったでしょう。それでも、あの「仕掛けに対する消極さ」はひどすぎました。

 とはいっても、後半になって、平瀬、明神、中村などのオリンピック組が登場してから、日本代表のプレーに、急にダイナミズムが感じられるようになってきます。彼らの明らかに積極的な「プレー姿勢」が、名波や奥、はたまた先発したオリンピック組、稲本のプレーを活性化したのです(稲本は前半から冴えたプレーを展開してはいましたが、それが周りと連動していませんでしたからネ・・)。

 最後の二十分間の日本代表のプレーからは、それまでにはなかった「勝負(仕掛け)マインド」がアリアリと感じられるようになっていきました。

 右サイドや中央で、積極的にドリブル突破を図る中村。どんどんと決定的スペースへ抜け出るような「クリエイティブなムダ走り」を繰り返す平瀬。中盤の底から、「自分中心に」ボールを展開させようとする「意図(動き)」を明確に打ち出しはじめる名波。はたまた、右サイドや後方から、どんどんと「ボールがないところでの決定的な攻撃参加」を魅せる明神や稲本。頼もしいじゃありませんか・・

 彼らのプレーから、「ダイナミズムの本質」が何なのかを再認識されられた湯浅でした。このことについては、今週号の「2002 Club」で書くことにしましょう。

 この試合を見ていて、試合運び・駆け引きなど、たしかに「経験」という意味ではまだまだ大幅な努力が必要だとはいえ(そこには名波や中田がいます・・)、2002を見据えた日本代表は、やはり「若手の可能性」に賭ける方が実り多いのでは・・と感じた湯浅でした。試合内容(試合の流れ)を大幅に好転させるなど、彼ら若手のプレーは、それほど、「可能性あふれるダイナミズム」を感じさせるものでした。それでは今日はこの辺で・・




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