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闘うスピリットを失ってしまった(?!)「控え組」・・日本代表対カタール(1-1)・・(2000年10月21日、土曜日)


一体あのサッカーは何だ! 皆さんも、そんな怒りをもって観戦していたに違いありません。本当に、「前半」の日本のサッカーはヒドイものでした。

 スポーツサイト、「スポーツナビゲーション」でも書いたのですが、その元凶は、明らかに、奥と小野でした。彼らの能力の高さは、もう万人が認めるところ。だから逆に腹が立つ。どうしてもっと積極的にリスクにチャレンジしていこうとしないんだ・・、どうしてもっと走らないんだ・・、どうして自分たちが中心になって「ゲームペース」を作っていこうとする姿勢を見せないんだ・・

 たしかに「ソツなく」プレーはします。それでも、自ら「仕事を探す(リスクにチャレンジしていく)」というアクティブな姿勢は、最後まで、まったくといっていいほど感じません。

 彼らの場合、まず何といっても守備での仕掛けがないことが目立ちます。守備のスタートラインは、チェイシング。相手を追い込み、そして「次」でボールを奪いかえす・・、そのためのチェイシングがなければ、プレスを掛けるターゲットを絞り込めるハズがないのですが、彼らの守備プレーからは、そんなチェイシングの姿勢だけではなく、次のプレス守備への参加姿勢もまったく感じなくて・・

 またボールを奪いかえして攻撃にうつっても、彼らは、単なる「安全パス」をつなぐだけに終始します。それも、ボールをこねくり回した上での、遅い、遅いタイミングのパスを・・(小野は一本だけ、ダイレクトでのクリエイティブパスを決めはしましたが・・)。これでは、カタールの守備ブロックが、簡単に「次のパス」を読んでしまうのも道理。だから、日本代表の展開は、まるでセコハンの車といった具合になってしまって・・

 彼らがどんどんと動き回り、押し上げれば、ボールの動きも活性化するでしょうし、ツートップとのコンビネーションも、より実効あるものにすることができたに違いないのに・・。とにかく、攻守にわたり、肝心なところで足を止めてしまう小野と奥のプレーに、フラストレーションは頂点に達してしまいました。

 言い過ぎでないことは、皆さんもアグリーだと思うのですが・・

 これでは、(私が最も期待していた)久保や、若い北嶋が活躍できるはずがありません。詰まった状態でしか(つまり相手に正確に予測された状態でしか)クサビのタテパスが出てこないですし、受けてコントロールしても、バックアップが遅いことで孤立してしまって・・。それでも北嶋は、意を決したドリブル勝負から素晴らしいシュートを放ちましたが・・

 とにかく、前半の日本代表のプレーから、「控え組と呼ばれることに対する怒り」をまったく感じなかったことは、本当に寂しい限りではありました。

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 ただ、海本が退場になったことで10人で戦わなければならなくなった後半は、様相がガラッと変わります。

 フラット・フォーにし、明神と名波がダブルボランチに入ります。そして「問題児」の奥と小野を、二列目に置き、その前にワントップの西澤が控えるといった布陣。フィリップは、どうしても奥と小野を最後まで使い続けたかったようです。もちろん代替がいなかった(他の選手を休ませるという意味も含めて・・)ということもあるのでしょうが・・。でも本当の彼の意図は・・?!

 基本的なポジションが前気味になった奥と小野は、ボールを受ければすぐに最終勝負に入っていけるポジションということで(組み立て段階のダイナミズムを生み出すための忠実なチームプレーからある程度解放されたことで・・)少しは「実効レベル」がアップします。小野の、名波からのパスを「呼び込んだ」フリーランニング、そしてそこからの相手GKと最終ディフェンダーの「間」を通したラストパスは(西澤がうまくウラに入り込んで同点ゴールを挙げる!)、彼のハイレベルな才能の証明ではありました。

 このペースアップですが、それは、もう明神の功績と言う以外にありません。彼の、忠実で積極的な中盤守備プレー、そしてそこからのシンプルな組み立てパスによって、日本代表の中盤にダイナミズムが蘇ってきたのです。名波プレーが、攻守にわたって格段にアクティブになり、両サイドの三浦や望月も、より積極的に仕掛けるようになった(また問題児たちのプレーも、やや鋭さが出てきた)・・ということです。もちろん、カタールが、前半にも増して守備的なサッカーをやったから・・とも言えますがネ。

 そして「やっと」ボールの動きが活発になっていきます。こうなればもう日本のもの。一人足りないことを全く感じさせないほどのアクティブな攻めを繰り出します。また守備も、カタールの攻めが人数をあまり掛けてこなかったこともあって、フォーバックとはいえ、かなりの安定度を魅せていました(森岡の読み能力の高さがビンビンに感じられてハッピーだった湯浅でした)。

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 まあ、この試合のことは、なるべく早く忘れよう・・と思っている湯浅なのですが、それにしても小野が心配です。これでレッズに帰ったら、また・・

 彼には、本当に「良いプレーヤー」になって欲しいと思っているんですよ。誰か、「うまいプレーヤー」と「良いプレーヤー」の本質的な違い、また「走ることを自然な(基本的な)意識環境にすることの重要性」を、彼に心底理解させてくれませんかネ。

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 さてこれで、イラン、韓国、サウジアラビアという「要注意国」が、トーナメントの「別ブロック」に集まってしまいました。ということは、彼らとは、決勝でしか当たらない・・という「ツキ」にも恵まれました?! (今の日本代表のレギュラー組には、そんな「ツキ」など必要ないとは思いますが・・)

 もちろんトーナメントですし、サッカーですから、何が起こるかは誰にも分かりません。サッカーの神様はイタズラ好きですしネ・・。それでも、グループリーグでの、イラク、中国の「サッカー内容」からすれば、日本の敵でないことは確かな事実・・だと思うのですが・・

 あっ、もう朝の7時になってしまった・・。今日は、これからチョット寝て、「J-2」の試合でも見に行こうかな・・

 その試合や、アジアカップのイラン対韓国など、内容があればレポートするつもりです。ご期待アレ。では・・




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