湯浅健二の「J」ワンポイント


2025年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第26節(2025年8月17日、日曜日)

 

木山隆之ファジアーノ・・このホームでの初勝利は、明確に、自分たちの実力(≒主体的な攻守ハードワーク)で勝ちとったモノだった・・(岡山vsレイソル、2-1)

 

最後は、ものすごくドラマチックな最終勝負プロセスに入っていった。

それは、まさに、神様スクリプトそのものだった。

でも、ゲーム全体を俯瞰してみたら・・

そう、木山隆之ファジアーノが、とてもフェアにつかみ取った「勝ち点3」だったと言える。

こんな立派な「闘い」を魅せている彼らなのに、このゲームが、彼らにとっての、ホーム初勝利だったとのこと。

あの高質なサッカーだぜ、チト、信じられない・・

とにかくファジアーノは、木山隆之に率いられ、初めての「J1」の厳しい闘いを経るなかで・・

どんどんと実力(戦術的&意志の共同作業)を、幹の通った進化&深化のベクトルに乗せたっちゅうことなんだろうね。

このゲームでの木山隆之ファジアーノ・・

ゲーム立ち上がりから、レベルを超えた勢いの「前からプレス」をブチかましていった。

そういえば・・

ダゾン解説の加地亮と李忠成が、異口同音に、こんなコトを語っていた。

・・そうなんですよ・・

・・プレッシングをうまく機能させるのは難しいんです・・

・・最初がはまっても、次のプレスが遅れたら・・

・・また、最初のプレスを外されても、そこで守備アクションのコンビネーションが崩れて、逆に大ピンチに陥ってしまう・・

そう、そうなんだよ。

前からプレスを、うまく組織的に機能させるのは難しい。

それでも木山隆之ファジアーノは、勇気をもって、立派にチャレンジした。

とにかく前からプレスは、チーム全体が「共通イメージング」を描けていなければ、うまく機能しないんだ。

でも、前半の、木山隆之ファジアーノは、前からプレスの「イメージング」が、理想的に、そしてダイナミックに「共有」されていたと思う。

ということで前半を見終わったとき、後半のファジアーノのサッカーに対して、大いなる興味が湧いてきていた筆者だったんだ。

そう、どこまで、この「闘う意志」を高みで安定させられるのか・・

また、そのダイナミズムが減退することで、「あの強い」リカルド柏レイソルに押し込まれつづけたら・・

前半を終えた段階で、そんな興味が尽きなかったモノさ。

そして、その後半・・

たしかに、全体的な「すう勢」は、「落ち着いてきた」ってな表現がふさわしかったかな。

そう、前半の木山隆之ファジアーノが魅せつづけた「前からプレスの勢い」は、さまざまな意味合いで、レベルを超えていたんだよ。

そして後半は、エネルギー保持という意味合いも含めて、木山隆之ファジアーノは、ゲーム内容を、とても「うまく」落ち着かせていったと感じたんだ。

そんな「落ち着かせ方」は、とても難しいんだよ。

だから、わたしは、心のなかで、木山隆之ファジアーノに拍手していたモノさ。

とはいっても・・

そう、ボールを奪い返してからのファジアーノのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)は、とてもインプレッシブに高質だったという視点も、忘れちゃいけない。

チト、ビックリさせられたというのは、木山隆之ファジアーノに対して、失礼か。

とにかく・・

人とボールの動きが、軽快でスマートなんだよ。

それだけじゃなく、組織プレーと個人の勝負プレーの「バランス」も、とても高質。

それも、ボールがないところでのアクションの量と質が、素晴らしいからに他ならない。

木山隆之は、ホント、スーパーな仕事を積み重ねている。

そして、残り15分という、リカルド柏レイソルが、全力で同点ゴールを狙いにいった展開。

そこでも、木山隆之ファジアーノは、とてもクレバーで落ち着いたボール奪取プロセス(守備)を魅せつづけたんだ。

たしかに、ゲームの全体的な「流れ」からすれば、レイソルの同点ゴールも「時間の問題」ってな雰囲気が支配するようになってはいた。

ただ、そんな押され気味の展開のなかでも・・

そう、木山隆之ファジアーノが、素晴らしく効果的に(イメージ!)トレーニングされているっていう事実を、魅せつけられたんだ。

とにかく彼らは、レイソルに、決して、ボールがないところで勝負を「決めさせない!」ってな、忠実でクレバーに、最終勝負を、抑制していたんだ。

そう、彼らは、「最後の半歩というファクター」を、しっかりと徹底できているんだよ。

最後の半歩というファクター・・

主体的な「イメージング(予測)」能力・・ね。

とにかく、そんな意志(最後の半歩というファクター)があるからこそ、ボールがないところでの守備アクションの量と質が、ハンパなかったんだ。

このホームでの初勝利は、決してフロックではなく、明確に、自分たちの実力(≒主体的な攻守ハードワーク)によるものだった。

木山隆之ファジアーノは、この強烈な「意志」を高めて行ければ、かならず上位に食い込んでいける。

わたしは、そう思う。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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