湯浅健二の「J」ワンポイント


2025年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第20節(2025年6月14日、土曜日)

 

局所的なデュエルばかりが支配した勝負マッチだった(ミヒャエルの試合後コメント)・・とはいっても、ミヒャエル広島サンフレッチェが、様々な視点で、優勝争いをリードするに相応しいチームであるコトは証明したと思う・・(アントラーズvsサンフレッチェ、1-1)

 

・・魂のぶつかり合い・・

・・観ていて、感動しました・・

ダゾン解説の遠藤康が、そんな素敵なコメントをしていた。

まさに、我が意を得たり。

こちらも、最後の最後まで、手に汗にぎった。

戦術的にも、フィジカルのぶつかり合いでも、心理・精神的なせめぎ合いにしても・・

でも、まあ、わたし自身の見所は、決まっていた。

そう、ボール奪取プロセス(守備)で、もっともチカラのあるミヒャエル広島サンフレッチェが、一点を追いかけるアントラーズの攻勢を、どこまで効果的に、受け止めきれるか。

そして実際に・・

彼らは、たしかに、戦術ロジカルなボール奪取プロセス(守備)という視点では、いつものような堅牢な「強さ」を発揮している。

でも・・

そうダゾン解説の水沼貴史も、言っていたように・・

・・たしかにサンフレッチェ守備は、アントラーズに、そう易々とはスペースを使わせない・・

(スペース攻略≒ある程度フリーなボールホルダーを創りだすコト)

・・それでも、エマージェンシーになったら、分からない・・

そう、パスやシュートが、誰かに当たって跳ね返ってきたり、パスがイレギュラーして、思わぬゾーンに転がっていっちゃったり・・

こんな拮抗した勝負マッチでは、そんな危急状況が、雌雄を分ける・・!?

たしかに私も、そんな感覚は、抱いていた。

とはいっても・・

そう、サンフレッチェは、そんな危急状況(エマージェンシー)になっても、しっかりと反応し、対応できていたんだよ。

その「反応&対応アクション」は、もう、「心理の奥底」に秘める「強烈な闘う意志」の発露としか言いようがない。

そして、そんな強固なボール奪取プロセス(守備)をベースに・・

ミヒャエル広島サンフレッチェには、ゴール機会を創りだすという視点で、明らかに一日の長があったんだ。

ミヒャエルが、試合後インタビューで述べていたように・・ネ。

そう、決定的なゴール機会という視点では、明らかに、サンフレッチェに軍配が挙がるんだよ。

でも、最後の最後に、同点ゴールを、粘り腰で、奪われちゃう。

後半47分、CKから、ファーサイドスペースに、マークする相手を「引きずりながら」入り込んだ植田直通が、ヘディングで折り返すんだ。

そのボールが、あろうことか、セルビア人チャブリッチと、相手マーカーの、まさに猫の額ほどの間隙を「すり抜け」て、背後にポジショニングしていたレオ・セアラの眼前に、転がってしまう。

万事休す・・

その同点ゴールを観ながら、「それもまたサッカーさ・・」って、自分自身に言いきかせていたモノさ。

皆さんもご存じのように、わたしは、ミヒャエル・スキッベを応援しているんですよ。

だから・・

試合後インタビューで、ミヒャエルが悔しそうに語っていた感性を、シェアしていたよ。

もちろん・・

そう、鬼木達アントラーズ「も」、素晴らしい闘いを魅せた。

その内実は、たしかに、「勝ち」に値する「何かを秘めていた」って感じさせた。

まあ、素晴らしい、極限の「魂の闘い」ではあった。

最後に・・

ミヒャエルのコメントで、このコラムを締めようかな・・

それは・・

・・このゲームでは、両チームともに、良いサッカーを魅せられなかった・・

・・局所的な(フィジカル)デュエルばかりが支配したゲームだったんだ・・

・・それでも、明白なゴール機会という視点じゃ、ウチが優っていた・・

・・ウチは、三つ、アントラーズは、一つ半くらいだったかな・・

・・まあ、両チームともに、魅力的なゴール機会を創りだせないゲームだったんだよ・・

・・ということで、最後は、1対1の引き分けに終わってしまった・・

そんなコメント(最後の三行ネ)をするミヒャエルの表情からは・・

・・そう、これがサッカーなんだよ・・

わたしは、ミヒャエルの、経験に裏打ちされた「冷徹な感性」と、抑え切れずに放散される、エモーショナルな悔しさを、肌身に受け止めていた。

とにかく・・

まあ、ミヒャエル、次だ、次だ。

これからも、長〜いシーズンが続く。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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