湯浅健二の「J」ワンポイント
2025年Jリーグの各ラウンドレビュー
第12節(2025年4月26日、土曜日)
アルビレックスは、この優れたサッカーでも、まだ順位ボトム域から抜け出せないのかい・・「J」の競争環境は、ホント厳しいよね・・(レイソルvsアルビレックス、1-1)
アルビレックスのプロコーチ(監督)樹森大介は、ホントに良い仕事をしている。
このテーマについては、前節コラムも、ご参照あれ。
特に・・
そう、乳酸が溜まってくる後半において、攻守にわたって、完璧にイニシアチブを握りつづけたアルビレックスには、拍手をおくるしかない。
強調したいのは・・
なんといっても、アルビレックス選手たちがブチかましつづけた、攻守にわたる、主体性プレー。
サッカーは、キツイ、走る(!!)スポーツだからね。
だからこそ・・
選手たちの、闘う意志のレベルが、問われるんだ。
わたしは、その「レベル」を測るメジャーとして、攻守にわたる「主体性プレー」の内実ってなファクターを注視することにしている。
たとえば、こん感じ・・
相手の人とボールが動く・・
その、動きに、単純に反応するだけではなく、次の動きまで「予想」して、ボール奪取プロセス(守備)のアクションを繰り出すんだよ。
そう、ボール奪取プロセス(守備)における、最後の半歩というファクター・・ね。
そんなトコロにも、主体性プレーの「本質的な価値」が、内包されているんだ。
その視点で、この試合のアルビレックスが、攻守にわたってブチかましつづけた「気のレベル」は、レイソルを上回っていたとすることに、躊躇しない。
前節コラムでの、アルビレックスに対する「エール」は、決して的外れじゃなかったということか。
そのコトを体感できたコト(評価の正しさの体感!?)も、わたしの精神衛生上、よかったよ。
へへっ・・
ということで、このコラムでの特筆テーマ・・
そこでは、こんなコトを語ろうかな・・
スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)における、ゴール機会の創出や、実際のシュートといった最終目標に近づくための、戦術ツール・・ネ。
あっと、それも・・
スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)全体じゃなく、最終勝負プロセスに的を絞ってね。
わたし、よく、こんな表現を使うじゃないですか・・
ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションが、仕掛けのキーポイントだってネ。
要は、相手ディフェンスの「守備イメージング」を超越するために、もっとも効果的なツールの一つが、ダイレクトパスだっちゅう主張ね。
例えば・・
一人が「タメ」を創っている状況で、仲間が、そのボールホルダーへ、軽く、寄る・・
そして「同時に」、3人目の誰かが、タテの決定的スペースへ、爆発ダッシュを仕掛けるんだよ。
そして・・
ボールホルダーは、軽く寄ってきたチームメイトへ、正確で、緩め(!?)の横パスを出す。
それが勝負の瞬間・・
受けたチームメイトが、ダイレクトで、タテの決定的スペースへ抜け出した「3人目のフリーランナー」へ、ラストスルーパスをブチ込むっちゅうわけだ。
そんなダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションを成就させたのが、レイソルの同点ゴールシーンだったよね。
アレは、見事な最終勝負だった。
ということで、そんなプレーは、かなり限定された「狭いコンビネーション」だけれど・・
それだけじゃなく・・
タテ方向に、ダイレクトのロングパスを送るような、「大きなコンビネーション」だって、ものすごく効果的なんだよ。
わたしが、「ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション」ってな表現を使うときは、そんな、ものすごく「シンプル・タイミング」の、大きな(!!)ワンツーも、含まれているんだよ。
だから・・
「ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション」という表現を使うときは、なるべく、ワンツーを積み重ねるコンビネーションってな言い回しも、ミックスするんだ。
まあ、そんなコンビネーションの種類は、星の数ほど・・さ。
そして、もう一つ。
最終勝負を、効果的にブチかますための、ツール。
それが、この試合で、後半から登場した、アルビレックスのブラジル人、ダニーロ・ゴメスが、魅せつづけた、個の勝負プレー。
彼の、個の勝負(ドリブル突破トライ)には、「オレがやってやるっ!!」ってな覚悟が充満している。
だからこそ、相手ディフェンダーも、少しビビり気味に(!?)対応しちゃう。
ダニーロは、そんな相手の「弱腰」を見逃さず、ズバッと勝負し、抜き去ったり、そこまで行けなくても、相手のブロックを外して、決定的なラストパスをブチかましたりする。
というわけで・・
このところ、「J」では、「攻めあぐむシーン」が多いように感じている筆者は、こんな「提案」を、皆さんにも考えてもらいたいワケさ。
だからこそ・・
上記したような、ダイレクトや「個の勝負」を、もっと意識してもらいたい・・とかネ。
要は、そんな「最終勝負イメージング」を、トレーニングで、より厳しく、鋭く、意識させるわけだ。
あっと・・
そんな最終勝負のイメージングだけれど・・
上記の二つだけじゃなく、一発ロングカウンター、ショートカウンターもそうだけれど、具体的な「勝負シーン」をイメージさせるコトが大事だっていう主張をしたいわけさ。
たとえば、ゼルビアがやっているような、ロングスロー、長身CFのアタマを使う(こぼれ球狙い)とかネ。
とにかく、そこにゃ、アイデアが山積みなんだよ。
そう・・
人とボールを活発に動かすコトを絶対ベースに(よいリズムの人とボールの動きネ)・・
そこで、スペースを攻略できたら(ある程度フリーなボールホルダーを創り出せたら)・・
ソコからの、「最終勝負」の選択肢として・・
トレーニングで、より「具体イメージ」を抱かせるような、やり方もあるって感じるわけだ。
このごろの「J」では、明らかに・・
ボール奪取プロセス(守備)の内実の方が、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)を上回っているって感じるのは、私だけじゃないでしょ・・
だからこそ、選手たちとも(!!)アイデアを持ち寄り、「そのイメージング」の選択肢を、(選手たちの主体性を発展させる意味もふくめて!!)充実させるわけだ。
このゲームを観ながら、アルビレックスへのエールだけじゃなく、そんなテーマにも、アタマをめぐらせていた筆者だったのであ〜る。
へへっ・・
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは-
"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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