湯浅健二の「J」ワンポイント


2024年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第2節(2024年3月3日、日曜日)

 

レッズは、もっと「解放」されたサッカーにチャレンジしなきゃ・・対するヴェルディは、「このまま」の勢いで、進化&深化を上積みしていって欲しい・・(レッズvsヴェルディ、1-1)

 

レビュー
 
またまた、立派なサッカーで存在感をブチかました、ヴェルディ。

ということで、このコラムでは、まず、彼らにスポットを当てようかな。

とにかく、私は、じ〜っと・・

ヴェルディが展開するボール奪取プロセス(守備)の機能性に、目を凝らしていた。

何せ・・

前節で対峙した、「あの」強いマリノスに対しても・・

とてもハイレベルな「機能性」をブチかましながら、彼らのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)を、ほとんどの時間帯で、抑え切っていたわけだから・・

そして、この試合でも・・

「あの」強力なレッズの、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)に対しても、ほとんどゴール機会を創りださせなかった。

まあ、たしかに・・

ダゾン試合後インタビューで、アレクサンダー・ショルツが語っていたように・・

このゲームでレッズが展開した、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)は、うまく機能していなかったわけだけれど・・ね。

そのヴェルディの、ボール奪取プロセス(守備)・・

とにかく、チェイス&チェック(寄せ)での「メリハリ」がいい。

そう、彼らは、行くトコロと、待つトコロを、とても柔軟に「切り分け」ているんだよ。

要は・・

守備プロセスでの、選手たちのイメージングが、とてもうまくマネージされているということ。

だからこそ、ボール奪取プロセス(守備)での、選手たちの協力コンビネーションが、とても素敵に「シンクロ」しつづけるんだよ。

ヴェルディ守備の「基本」は、ポジショニングバランス・オリエンテッドな、組織ディフェンス。

そのバランスは、素早く効果的な攻守の切り替えから、すぐに、整えられちゃう。

もちろん、ゲーゲンプレス(プレスバック)も、効いているし、そこからの素早いチェイス&チェック(寄せ)も、うまくリードできている。

また、マーキング&カバーリングは言うまでもなく、局面デュエルでも、チームメイトたちとの「イメージング・シンクロ」は、抜群だった。

だからこそ、協力プレスの輪も、とてもうまく機能しつづけていたんだ。

ヴェルディ選手たちは・・

そんな、ボール奪取プロセス(守備)においてだけじゃなく・・

スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)においても、抜群の「スキルとダイナミズム」を魅せつけつづけていたっけね。

うまく、サッカーを「回せない」レッズ・・

そんな彼らについて、ダゾン解説の松木安太郎が・・

「レッズは、もっと前からプレスで、ヴェルディを押し込んでいくと思っていたんだけれど・・」と語っていた。

いやいや・・

レッズ選手は、ヴェルディ選手の、ボール絡みの「スキル」が、甘く見たモノじゃないって「体感」しつづけていたんだよ。

だからこそ、そう簡単には、前から行けなかった(行けなくなった!?)んだと思う。

とにかく、ヴェルディ選手たちの、ボール奪取プロセス(守備)は、自信に満ちあふれていた。

それもまた、前節マリノス戦と、同じような「ゲーム展開テンデンシー」だったと感じた。

また、ヴェルディの、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)。

局面で、ヴェルディ選手が魅せる、ボールを扱う「スキル」もまた、レッズ選手たちに、ある種の「受け身のサイコロジカルエフェクト」を与えた!?

わたしの眼には、レッズ選手たちの、攻守でのプレー姿勢が、どんどん「用心深く」なっていったって、映っていた。

何せ、「あの強力」なレッズ強者どもが、うまく、フッ切れたスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)をブチかましていけなかったんだから。

彼らは、常に、タイミングを「失ったかもしれない」って、不安に陥っていたのかも・・

だから、うまく、アタックを仕掛けても、うまくボールを奪い返せず、逆に、「寄せた」ことで、その逆モーションを取られちゃったりする。

そんな、この試合では、うまくいかなかった、レッズ・・

ゲームを観ながら、こんなコトを思っていた。

・・やっぱり、攻守にわたる「局面デュエル」の、スキルの内実が、プレイヤーの心理面に与える影響は、とても大きい・・

・・その局面デュエルで、うまく勝てるかどうかが、次のデュエルへの「心理パワー」を決める・・

・・レッズ選手たちは、チーム総合力じゃ、ヴェルディより上だって確信していたけれど・・

・・ただ、実際のグラウンド上での局面プレーでは、その「差」を、体感できず・・

・・そのコトによって、彼らの「ネガティブ心理」が、必要以上に(!)増幅された!?・・

ところで・・

ダゾン試合後インタビュー・・

そこで、野中智子さんが、レッズ監督ヘグモに対して、こんな質問をした。

・・悔しい結果になったと思うが・・

そう、わたしも含め、周りで観ている誰もが・・

ゲーム内容として、ヴェルディが「あのまま」勝ち切るのが、フェアな結果だったと、思っていたっちゅうわけさ。

わたしは、とにかくレッズが・・

様々な意味で、攻守にわたって、もっと「フッ切れた」プレーを「イメージ」しなきゃいけないと感じた。

どうも、優等生サッカーになっている(ミスをしたくないという後ろ向き心理!?)・・

彼らは、タテパスにしろ、勝負のクロスボールや、フッ切れたドリブル勝負にせよ、もっと「思い切って」仕掛けていかなきゃいけないんだよ。

このゲームでの、彼らのスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)じゃ、誰もが、「次にレッズが何をやるか・・」、明確に、見えていたわけだからね。

彼らは、もっと・・

ロジカルな組織サッカーのなかに、解放された「個の勝負マインド」をブチかまさなきゃいけない。

あっと、ヴェルディは・・

もう、「このまま」ガンガン、冷静ななかにも、激しさを秘めたスピリチュアル・エネルギー(闘う意識と意志パワー!!)を、グラウンド上で炸裂させて欲しい。

ホント、城福浩は、抜群にハイレベルな「仕事」をパフォームしているじゃないか。

サッカー仲間として、心からの称賛と感謝の拍手を、おくりますよ。

ガンバレ〜・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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