湯浅健二の「J」ワンポイント


2023年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第30節(2023年10月21日、土曜日)

 

吉田孝行・・その素晴らしい仕事に対して、プロコーチ仲間として、称賛と感謝の拍手をおくります・・(ヴィッセルvsアントラーズ、3-1)

 

ヴィッセル監督、吉田孝行は、名将への階段を、まさに一直線。

ホントに、素晴らしい仕事をしている。

戦術(チーム作り)マネージャーとしても、心理マネージャーとしても。

特に・・

チームを創るうえでもっとも重要な、どのようなサッカーをするのかというテーマを内包する「コンセプト」には、誰もが納得するコノテーション(言外に含蓄する意味)が満載だった。

不確実なファクターに満ちあふれたサッカーは、互いに「使い・使われる」という意味の、ホンモノの組織ボールゲームという意味でね。

とにかく、チームが一体となった協力作業という視点は、世界での共通理解になっているんだ。

以前のように、「個の天才」に頼る(それを強みとして活かし切る!?)ようなイメージは、どんどん払拭されているんだ。

だから、世界中の「天才」連中も、自分の(天から授かった!?)チカラを発揮できるポイントまでは、攻守ハードワークを探しまくるってな、誠実なプレー姿勢に、徹するんだよ。

そう・・

攻守ハードワーク(実効ある仕事!)を、積極的&攻撃的に、探しまくらなきゃ、チーム内でのポジションを失ってしまうんだ。

今年7月にブレーメンで開催された、ドイツ(プロ)サッカーコーチ連盟が主催する、サッカーコーチ国際会議でも・・

レギュラーな講演とは関係ないところでアクティブに展開される、番外の行間ディスカッションでも、その話題で、持ちきりだったよね。

もちろん、コーヒーブレイクなどのタイミングで、プロの猛者どもが三々五々集まり、ブチかまし合うディスカッションに参加しているのは、現役やOBプロコーチ連中だよ。

とにかく、ヤツらの「実感が込められた主張」は、ものすごく興味深かった。

・・そうなんだよ、天才のヤツらは、以前のように、ハードワークをサボるなど、好き勝手にプレーできなくなっているんだ・・

・・それがイヤで、チームを移籍しても・・

・・世界的な傾向には逆らえないから、自分勝手なプレーがやりたかったら、もうサッカー自体を楽しめない低級チームに行くしかない・・

・・まあ、とても興味深い、流れ、ではあるよな・・

・・等など。

あっと、吉田孝行・・

彼については、もう、語る必要もないでしょ。

彼が率いるヴィッセルには、イニエスタという世紀の天才がいたんだよ。

そう仕掛けプロセスでは、これ以上ないほどの「天才」を魅せまくるイニエスタ。

わたしも、そんな局面の「美しさ」に酔いしれたこともあったね。

でも、「そこ」に至るまでのプロセスでは・・

ボール奪取プロセス(守備)にしても、スペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)での、ボールなしの動きにしても、やっぱり彼は、ブレーキ要素のほうが大きくなってしまっていた。

そして、その「事実」をしっかりと理解していたのが、手吉田孝行。

彼は、その「天才」こそが、ヴィッセルの躍進(まあリーグ成績ね)を阻む元凶だって考えたわけだ。

もちろん、彼の前任プロコーチ連中だって、その事実は、明確に把握していたさ。

でも、プロサッカーだからネ。

彼らは、ビジネス的な視点も必要というコトで、見て、見ぬふりをしていた!?

まあ、その「微妙なディスカッション」に手を付けるコトは、イコール、テメ〜の進退問題にまで簡単に発展しちゃうっちゅうわけだ。

でも、吉田孝行は、そのディスカッションと対峙することを、躊躇しなかった!?

もしかしたら、彼の契約条項のなかに、「イニエスタ排除」という項目も、含まれていたのかもしれないよね。

まあ、そんなコトは、誰にも分からないけれど・・

とにかく、吉田孝行の「マネージメントの方向性」が、正しかったって、証明されつつあるというコトも、確かな事実なんだよ。

あっと、試合・・

このヴィッセルの「完勝」については・・

もう、ボール奪取プロセス(守備)での、強烈な「意識と意志パワー」の為せるワザってな評価に行き着くのかな。

だからこそ、吉田孝行の「心理マネージャー」としてのウデに「も」感服していたわけさ。

とにかく・・

攻守の切り替え、チェイス&チェック(寄せ)、局面デュエル、マーキング&カバーリング、協力プレスへの集散、そして「最後の半歩というファクター」・・

そのどれをとっても、アントラーズが、ヴィッセルの後塵を浴びつづけていたんだよ。

だからこそ、次のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)でも、ボールがないところでのアクションの量と質が、ハンパなく活性化していった。

そうそう、そういえば、この試合では、井出遥也の活躍が、目立ちに目立っていたよね。

彼は、ヴェルディ出身だから、当時は、注目する選手だった。

そして・・

・・あっ、オマエ、こんなトコロにいたのか〜・・

・・なんてネ。

ということで、このヴィッセル完勝については、これ以上、書くことは止めにします。

とにかく・・

吉田孝行のパフォーマンスに対して、同じサッカー仲間として、称賛と感謝の拍手をおくります。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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