湯浅健二の「J」ワンポイント


2023年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第17節(2023年6月11日、日曜日)

 

リーグ上位チームと下位チームの「差」は、昔のイメージからすれば無きに等しくなった!?・・とにかく、しっかり止めて蹴られるコトこそが絶対ベースっちゅうコトだね・・(横浜FCvsレッズ、0-0)

 

リーグの首位を狙おうというレッズが、ランキング最下位、横浜FCの本拠地(三ツ沢)に乗り込んだ。

まあ、試合前の、イメージ的なゲーム構図だけれど・・

イニシアチブは、「レッズが握る・・」ってな展開を予想していた筆者だったんだよ。

でも実際は・・

そう、横浜FCが、攻守にわたって、積極的&攻撃的なダイナミックプレーで、レッズに「好きにやらせなかった」んだ。

そこで、最近のリーグ傾向を、しっかりと反芻せざるを得なくなったっちゅう体たらく。

そうそう・・

リーグ全体の「実力差」は、かなり縮まっているんだよ。

ということで、この試合・・

たしかに、数字的にも、ゴール機会という視点でも、レッズに一日の長はある。

それでも、最終勝負シーンでは、横浜FCが、まさに「互角」の勝負で、簡単に「行かせない」し、逆に攻撃では、粘り強い競り合いで、シュートまでいったりする。

フムフム・・

たしかに・・

後半の「選手交代」あたりから、徐々に、レッズの攻勢に火が付きはじめたって感じられる時間帯は、あったけれど・・

それでも・・

そう、時間が押し詰まっていくにしたがって、ホーム横浜FCの「意識と意志パワー」が、大きく増幅していった・・って、感じられたんだ。

サッカーは、究極の「心理ボールゲーム」だからね。

ボール奪取プロセス(守備)での、ハードワークの連動性などを観ていると・・

横浜プレイヤーたちの「闘う意志」が大きくアップすることで、彼らが、「勝利を決める何か」に手を掛けていたって感じられたモノさ。

・・今日は、勝ち点2を失ったゲームだった・・

ダゾン日々野真理さんの質問に、マチェイ・スコルジャが、絞り出すように、そう答えていた。

その言葉どおり・・

ゲームの全体的な「趨勢」からすれば、レッズが、もっと多くの「ゴール機会」を創りだせなければならなかった・・というのが、フェアな評価だろうね。

では、なぜ、うまくスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)が回らず、ゴール機会を創りだせなかったのか?

第一は、何といっても、横浜FCが魅せつづけた、守備での強烈な「闘う意志」でしょ。

とにかく、次、その次のスペースに対する、強烈な「寄せ」は、レベルを超えていたんだ。

また、レッズ側の視点では・・

関根貴大、大久保智明といった、ドリブルの「必殺仕事人」が、「突貫小僧になり切る」っていう意味で、うまくフッ切れなかったコトも、あった。

わたしは、もっと積極的&攻撃的に「勝負しろよっ!!」って、無責任に、心のなかで叫んでいたよ。

また、FC横浜のカウンターをケアーし過ぎるというマインドで(!?)、伊藤敦樹のオーバーラップに、いつもの「勢い」が欠けていたとも感じていた。

それと・・

安居海渡と興梠慎三による、「タテのポジションチェンジ」が、うまく「はまら」なかったという点も、気になっていた。

要は、人とボールの動きが、うまくリンクせず、どちらかが、様子見になってしまうってなシーンが目立っていたっちゅうコトだね。

だから、ワンツー的なタイミングで走り込んでも、「そこ」にボールが出なかったり・・

もちろん、そこには、横浜FCディフェンスの「イメージング準備」が、効果を発揮していたという側面もあるだろうし・・

彼らの、ボール奪取プロセス(守備)での強烈な意識と意志パワーの炸裂(ハードワークの内実がハンパなかった!?)もあったでしょ。

そんな心理・精神的パワーの源は、言うまでもなく、一部残留だよね。

来シーズンに2部へ降格するのは、たった1チームだし、下位クラブの勝ち点差は、ほぼイーブンなんだよ。

実際に彼らは、今日の結果から、順位を二つも一挙にアップしてしまった。

ということで・・

上位と下位チームの実力差は、昔とは比べものにならないほど、縮まっている・・ってのが、このコラムの隠されたメインテーマだったということですかネ。

下位チームだって、しっかりとボールを止め、しっかりとボールを動かすことができるんだよ。

もちろん、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションを駆使してシュートまでいく・・なんていうハイレベルな最終勝負は、難しいにしても・・

シンプルな(アバウトな!?)クロス攻撃から、明確な「ゴール機会」を創りだしたりしちゃう。

たしかに、局面デュエルや、人とボールの動きの「リズム」、そこでのスムーズさ、イメージシンクロレベルなど、「微妙な差」を体感できるシーンも多いけれど・・

とにかく、全体的に、「J」のレベル差が大きく縮まりつづけているコトが、言いたかった。

あっと・・

もちろん、攻守ハードワークとリスクチャレンジを駆使したサッカーの「全体的な質」が、大きくアップしているという「事実」も含めてネ。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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