湯浅健二の「J」ワンポイント


2022年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第7節(2022年4月5日、火曜日)

 

ネルシーニョ柏レイソルが魅せた質実剛健サッカーに、感嘆の拍手をおくっていた(あの、ブラジリアンコンビに対してもネ!)・・(セレッソvsレイソル、0-1)

 

レビュー
 
「見所」豊富な、とても面白い勝負マッチだった。

その、興味をそそられた見所・・

まず何といっても、レイソルが魅せつづけた、抜群実効レベルのボール奪取プロセス(守備)。

そこでの、忠実でダイナミックなチェイス&チェックと、局面デュエルへ向かう爆発的な「闘う意志」に驚嘆していた。

とにかく・・

チェイス&チェックで相手ボールホルダー(次のパスレシーバー)へ寄せていくレイソル選手たちが、「オレがボールを奪い返してやるっ!」ってなアグレッシブマインド満々なんだよ。

だから・・

セレッソ選手たちのボール絡みのプレーが、心理的に(!)微妙に押し込まれているって感じる。

それじゃ、危険な仕掛けプロセスを繰り出していけないだけじゃなく、逆にレイソルに、次のパスを読まれて、効果的なボール奪取アタックを食らってしまうのがオチ。

そんなネルシーニョ柏レイソルの、素晴らしい実効レベルのボール奪取プロセスに対して・・

小菊昭雄セレッソのチェイス&チェックも含めたボール奪取プロセスの実効レベルについては、少し落胆気味に、彼らのアクションを追っていた筆者だった。

そりゃ、そうだ・・

何せ、前節のフロンターレ戦では、素晴らしいボール奪取プロセス(守備)からの必殺カウンターを、何度も魅せつづけたわけだからね。

でも、このゲームでは、ネルシーニョ柏レイソルに、お株を奪われてしまった。

そのネルシーニョ柏レイソルだけれど・・

チェイス&チェックを基盤に、次、その次のボール奪取プロセスと、間髪を入れない連動アタックアクションをブチかましていく。

そう、周りのカバーリングやマーキング、協力プレスへの集散、そして最終勝負シーンでの「最後の半歩」も、忠実に、そして効果的にブチかましつづけたんだ。

また・・

そんな忠実でダイナミックなボール奪取プロセスを基盤に繰り出していく、(小菊昭雄セレッソのお株を奪う!?)必殺カウンターも、素晴らしかった。

何が素晴らしかったかって!?

そりゃ、ボールを奪う直前での、周りのレイソル選手たちの「意識と意志の内実」さ。

彼らは、「オッ・・あそこでボールを奪い返せる!!」って「感じた」次の瞬間には、自然とカラダが動き出していたって感じたんだ。

そう、彼らは、ボール奪取ポイントからの、次のボールの動きまでも「見えている!?」。

だからこそ彼らは、その周りで(!)、決定的スペースへ全力スプリントで走り込んだり、味方ボールホルダーのサポートへ回ったり。

そんな、決定的な、ボールがないところでのアクションを、これまた忠実に、そして創造的に繰り出しちゃうんだ。

だからわたしは、レイソルのボール奪取プロセスを目で追いながらも、その周りのレイソル選手たちのイメージングにも、注目していたんだよ。

まあたしかに・・

決勝ゴールでの爆発カウンターシーンについては、もう、マテウス・サヴィオの独壇場(一人舞台・・ね!)ではあったけれど・・さ。

あっと・・

そんなレイソルの創造的なボール奪取プロセスだけれど・・

そこて気を吐いていたブラジル人コンビ。

マテウス・サヴィオと、ドッジ。

ホント、素晴らしい(組織的に連動しつづける!!)ボール奪取プレーを魅せた。

そしてその勢いが、タイムアップまで衰えを知らなかったんだから、立派。

わたしは、日本選手にとっても、これ以上ないほどの「手本」たり得る、このブラジリアン・コンビのプレー姿勢に対し、心からの称賛と感謝の拍手をおくっていた。

もちろん・・

そう、ボスは、「あの」ネルシーニョだからね、変にサボったら、帰ってから、大変なコトになる。

へへっ・・

ということで・・

たしかに小菊昭雄セレッソも、何度かはゴールへ迫るシーンは演出したけれど・・

全体的なサッカーの(勝負の!)流れという視点じゃ、今日は、完全に、ネルシーニョ柏レイソルの後塵を拝しつづけたっちゅうことだね。

でも彼らが志向するサッカーの内容は、とても良いよね。

そう、美しい質実剛健サッカーを目指して・・ね。

ということで、これからも、小菊昭雄セレッソに「も」、目を向けていこうと思っている筆者なのであ〜る。

へへっ・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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