湯浅健二の「J」ワンポイント


2022年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第31節(2022年10月1日、土曜日)

 

いまのジリ貧のレッズが、どこまで、フォーム(物理的&心理的な状態!)を回復させられるか・・それは、とても興味深い、学習機会ではあります・・(サンフレッチェvsレッズ、4-1)

 

レビュー
 
後半立ち上がりの数分間と、一点をゲットした短い時間帯を除き・・

ゲームのイニシアチブは、完璧に、ミヒャエル広島サンフレッチェが握っていた。

浦和レッズ・・

ACLも含めて、あれほどの「良いチーム」へと進化&深化を遂げていたと思ったのに・・

ここにきて、彼らのサッカーが、相手の勢いに呑み込まれるなど、まさに「寸詰まり」ってな状態に落ち込んでしまった。

いったい、何故!?

その原因について、少し、考え込んでいた。

でも、やっぱり、もっとも大きな要因は、一つに集約される。

そう、ボール奪取プロセス(守備)の内実が、大きく減退したからに他ならない。

ボール奪取プロセス(守備)を構成するファクター・・

・・素早く効果的な攻守の切り替え(トランジション)・・

・・そこから、間髪を入れずに、(ホンモノ勢いの!!)チェイス&チェックをブチかます・・

・・ボールをめぐる競り合いでは、明らかな「闘う意志」が感じられる局面デュエル・・

・・忠実でダイナミックな、マーキング&カバーリング・・

・・協力プレスへの、効果的な(強烈な意志が込められた!)集散・・

・・そして、もっとも大事な「最後の半歩」というファクター・・

最後の半歩・・

私は、相手のクロスやパス、シュートをブロックするだけじゃなく、マーキングやカバーリングでの、「ギリギリ勝負イメージング」を研ぎ澄ます・・という意味合いも含める。

とにかく、そのボール奪取プロセス(守備)ファクターの全てにおいて、ミヒャエル広島サンフレッチェに、一日の(以上の!)長があったと感じていたんだ。

ゲームに臨むレッズは、そんなサンフレッチェの「前からプレス」を、明確に予想していたんでしょ。

そして・・

それを、うまく「いなして」やる・・なんて、思い上がっていた!?

ゲームの内容を、フェアに評価したら、そう思わざるを得ない。

さて、ボール奪取プロセス(守備)・・

ACLまでの(!?)レッズでは、それが、素晴らしく機能していたんだよ。

だからこそ、美しい質実剛健サッカーを魅せつづけられていた。

でも・・

いったい、どこで狂っちゃったんだ!?

ACLで決勝に駒を進めたことで、また、日本サッカー界の彼らに対する評価が、ウナギ登りだったことで、思い上がった!?

わたしは、そうは、考えたくないけれど・・ね。

とはいっても・・

たしかに、攻守ハードワークとリスクチャレンジ、またボール奪取プロセス(守備)におけるアクションの内実が、大きくダウンしたことは確かな事実だと思う。

ミヒャエル・スキッベが、試合後インタビューで、こんなコトを語っていた。

・・レッズが、つなぐ(組み立てる)サッカーをやろうとすることは分かっていた・・

・・我々は、その「つながり」を寸断するように、トライし、それが、殊の外うまく機能した・・

フ〜ム、まさに、そういうことなんだろうね。

勘違いしちゃいけないのは・・

いくら「つなぐサッカー」とはいっても、ボールを奪い返すプロセスを活性化させなければならないことには、まったく変わりはないんだよ。

そのボール奪取プロセス(守備)の内実によって、次のスペース攻略プロセス(攻撃&仕掛け)の内容も、決まってくるわけだからね。

まあ、もちろん、「どこで&どうやって」ボールを奪い返そうとするかっていう、チーム戦術的なテーマもあるわけだけれど・・

それでも、積極的&攻撃的にボールを奪い返そうとする「意識と意志とイメージング」こそが大事であることには、何ら、変わりはないんだ。

その視点で、このところのレッズのボール奪取プロセス(守備)には、課題が(唐突、急激に!?)ふくらんできたって感じるわけだ。

そして、その要因についてだけれど・・

まあ、チェイス&チェックやカバーリングの「勢い」とか「意志」とかに、焦点をあてるしかない。

もし、そこで・・

一人でも、そう、たった一人でも、「アリバイ」の守備アクションを犯した次の瞬間には・・

その「怠惰ヴィールス」が、一瞬で、チーム全体を「汚染」しちゃうんだ。

逆に・・

たとえば、チェイス&チェックやカバーリングで、一人でも、強烈な「闘う意志」をブチかますことで、チームを刺激できたら、その「ポジティブ・エネルギー」が、雰囲気をガラリと高揚させる。

そして、攻守ハードワークとリスクチャレンジの「勢い」が、これまた瞬間的に、何倍にも、膨れ上がっていく。

イレギュラーするボールを足であつかうサッカーは、不確実なファクターが満載なんだよ。

だからこそ私は、究極の心理ゲームって呼ぶ。

リーダーシップの欠如・・!?

まあ、そういうポイントもあるんだろうね。

誰でもいいけれど、怠惰なディフェンスプレー姿勢に対して、顔を真っ赤にして怒り狂うとか・・さ。

そんな、「刺激」こそが、今のレッズには、必要なのかもね。

このテーマについては、「このコラム」も、ご参照あれ。

さて・・

ということで、いまのジリ貧のレッズが、どこまで、フォーム(物理的&心理的な状態!)を回復させられるか・・

わたし自身の学習機会という意味合いも含めて、とても興味深いテーマではあります。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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