湯浅健二の「J」ワンポイント


2021年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第4節(2021年3月13日、土曜日)

 

まず浮嶋敏ベルマーレについて簡単に・・そして、攻守にわたる実効レベルで「超越ゾーン」に入りつつある鬼木達フロンターレ・・(ベルマーレvsベガルタ、3-1)&(フロンターレvsレイソル、1-0)

 

レビュー
 
実は、今日・・

頑張っている浮嶋敏ベルマーレを中心にレポートするつもりだったんですよ。

でも・・

そう、例によって、ダゾン・カメラワーク(ズーミングワーク)が、寄り過ぎで、戦術的なエッセンスを体感しにくかった。

なんで、あれほど醜く「寄せる」ズーミング(画面構成)をするんでしょうね。

カメラレンズから外れた「そのちょっと先のゾーン」では、血湧き肉躍る、攻守にわたる、ボールがないところでの「意志のせめぎ合い」が展開されているっていうのに・・。

・・ボール「さえ」画面に入っていればいい・・とにかく、選手たちを「より大きく映し出さなければダメだ・・

・・ってな、ディレクター氏の指示でもあったんですかね!?

でも・・

そんな低級カメラワークにもかかわらず、浮嶋敏ベルマーレは・・

選手が大幅に入れ替わり、ニューフェースも間に合わない(!?)ってな逆境にもかかわらず、本当によく闘っていると思う。

このゲームでも選手たちは、最後の最後まで、素晴らしく高質な「意識と意志の闘い」を魅せつづけたんだ。

一人の例外もなく、全力で、攻守ハードワークとリスクチャレンジを「主体的に」探しまくりながらネ。

そして・・

そう、とてもフェアな報酬としての「勝ち点3」を、もぎ取った。

浮嶋敏に対しては、賞賛の拍手しかありません。

でも・・

そう、もっと深く入り込んだレポートについては、前述の理由により、ご容赦・・です。

ということで・・

フロンターレ対レイソル(雷雨によるキックオフ遅延で続けて観られた!)。

まず、ゲームの全体的な内容だけれど・・

それは、やっぱり、フロンターレに一日の長ありだった。

たしかに、何度かは、レイソルもゴール機会は創りだしたけれど・・

でも、「ゴール機会の量と質」という視点では、鬼木達フロンターレに、明確に「一日以上の長」があったんだよ。

攻撃の目的は、シュートを打つこと。ゴールは単なる結果にしかすぎない。

そして、そこに至るまでの「当面の目標イメージ」が、スペースの攻略ってわけだ。

私は、「そこ」で、フロンターレには、大括りで、三つの「強み」があるって思っているんだ。

一つは、美しい、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション。

二つ目は、家長昭博に代表される、個の「静的な最終勝負プロセスの創造」。

あっ・・

要は、相手ディフェンスの意識とアクションを「無為に集中させてしまう」ような、局面での「危険なタメ」とか、創造的な、「ボールを晒すドリブル」とかサ・・

そして、三つ目が、三笘薫に代表される「動的な最終勝負プロセスの創造」。

言うまでもなく、相手を置き去りにしちゃうドリブル勝負。

でも・・

この頃の三笘薫のプレーからは、ドリブル突破チャレンジのなかでも、次のラストパス「も」正確にイメージしている・・って感じる。

このゲームでの、家長昭博が流し込んだ決勝ゴールシーンも、そうだった。

でも、そんな美しい最終勝負プロセスのバックボーンでは・・

素早い攻守の切り替えを絶対ベースに、ものすごく「効果的」なボール奪取プロセスが機能しつづけているんだ。

それこそが、いまの彼らの強さの絶対ベース・・だと思っている筆者なのであ〜る。

そんな実効レベルの高い「基盤」があるからこそ、選手たちの、ボール奪取プロセスでの連動イメージが、カチッと噛み合うということなんでしょ。

そして・・

そう、そんな創造的なボール奪取プロセスが機能しつづけるからこそ、次の仕掛けでも、前述した「三つの強み」が、うまく「絡み合い」ながら機能するっちゅうわけだ。

もちろん・・

人とボールの動きの「高質なリズム」を、全員が、正確に、シェアしながらね。

強いはずだ・・

_________

ということで・・

このゲーム(フロンターレvsレイソル戦)での、ダゾン・カメラワーク(ズーミングワーク)だけれど・・

前述した「ベルマーレvsベガルタ戦」のそれとは比較にならないほど、良かったですよ。

全体的な「画面構成イメージ」もよかったですし(まあ正直なところ、もう5〜10メートル分だけ引いてくれたらな〜〜とは思うけれど)・・

次の仕掛けプロセスがスタートしそうな「雰囲気」で、スッと引くズーミングワークも特筆のクオリティーでした。

だからこそ、パスレシーバーと守備の、イメージングの駆け引きまでも、観える、観える。

とにかく・・

カメラマンの方は(ディレクター氏も!)、サッカーを知っている(大好きだ!?)・・って、感じました。

だから、こちらも、最高の集中力をもって観戦できた次第。

ということで、お疲れさまでした〜〜

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最後に、告知です・・

湯浅健二が、久しぶりに、テレビに出演します。

明日、3月14日の日曜日、2230〜2330時まで、BSテレ東で放送される「Challenge Spirits」という番組です。

テーマは、監督の仕事。

もちろんリモート出演ですが、まあ、言いたいことの骨子は、まとめられたかもしれないって感じています。

MCは、北沢豪です。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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