湯浅健二の「J」ワンポイント


2021年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第35節(2021年11月6日、土曜日)

 

立ち上がり、15分、20分あたりまでのゲーム内容から、両チームの仕掛け(スペース攻略プロセス)イメージの差異を、探っていた・・(マリノスvsFC東京、8-0)

 

レビュー
 

ダゾンのカメラワーク(ズーミングワーク)が良かったことで、ゲームは楽しめた。

もちろん、結果についちゃ、「まあ・・サッカーだから、こんなコトもあるさ・・」ってな、ため息交じりのコメント以外の何物でもないわけだけれど・・さ。

ということで・・

このコラムでは、マリノスが得点を重ねはじめる(森重真人がレッドを喰らう!?)までの戦術イメージング(!?)ポイントを、テーマを絞って語ろうと思った。

そこ(前半15分、20分あたり!?)までは、様々な意味合いで、動的に均衡したエキサイティングマッチだったわけだから・・。

その、ピックアップテーマだけれど・・

それは、言わずもがなの、スペース攻略プロセス。

シンプルに、そこでの「両チーム傾向」をまとめちゃえば、こんな感じになりますかね・・

・・スピードとパワー、そしてスキルにも優れたフォワードを擁するFC東京・・

・・彼らの「仕掛けイメージ」は、もちろん自分たちの「強み」を前面に押し出すモノ・・

・・そう、決定的フリーランニングへ一発タテパスを通しちゃったり・・

・・力強い「突破ドリブル」で相手ディフェンスを「強引」にハガしちゃったり・・

・・FC東京は、そんなイメージで、スペースを攻略しようとする傾向が強い・・

それに対して、マリノス・・

・・基本は、やっぱり、人とボールの動き・・

・・そう、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション・・

・・だから、ボールがないところでのフリーランニング(パスレシーブやスペース創造のための人の動き!)の量と質と変化は、FC東京を、凌駕している・・

・・そんな組織サッカーを基本にしているからこそ、うまくスペースを攻略できる・・

・・そして、だからこそ、エウベルやマルコス・ジュニオール、仲川輝人や前田大然といった個の才能連中が、個のドリブル勝負「も」、より有利なカタチで仕掛けられる・・

そうなんだよ・・

スペース攻略プロセスでは、マリノスの方が、オプションイメージ(個や組織プレーの、変化に富んだ組み合わせ!)がうまく機能しているんだ。

ケヴィン横浜マリノスの仕掛けプロセスは、とても柔軟で、変化に富んでいるのさ。

そう、フロンターレのようにね。

ということで、一般論・・

コーチにとって難しいテーマは・・

組織プレーと個の勝負プレーの「イメージング・バランス」を、いかに「高み」で安定させるのか・・というコトなんだ。

スゲ〜「ドリブラー」がいたら、もちろん、その才能を活用し「尽くそう」とするでしょ。

でも、「その傾向」が高じたら、今度は、「組織マインド」が減退しちゃう。

そう、ボールがないところで動くコト(パスレシーブやスペース創造のフリーランニング等)へのモティベーションが「阻害」されちゃう危険性が増すんだよ。

だからこそ・・

そう、ドリブラーの勝負プロセスのなかに、ラストパス「も」、常にオプションとしてイメージさせ続けなゃいけないんだ。

まあ、わたしは、全てのベースは「組織パス」にありって思っているけれど・・さ。

そのイメージが、しっかりとチーム内に浸透しているからこそ、ボールがないところでのサポートの動きにも「明確な意志」が吹き込まれる。

だからこそ、人とボールの動きも、より活性化し、攻略したスペースを基盤に、フッ切れたドリブル勝負だって、勇気をもって(!)繰り出していける。

とにかく・・

立ち上がり、15分、20分くらいまでは、両チームの「高質サッカー」が、素晴らしく動的に均衡したエキサイティングマッチだったんだ。

だからこそ、両チームの総体的なチカラ(底力)の内実や、彼らが仕掛けるスペース攻略プロセスの「タイプの違い」も、しっかりと体感できたっちゅうわけだ。

それにしてもケヴィン横浜マリノス・・

よく、飽きもせずに(!?)8点もブチ込んだよね。

サッカー的な「よくある現象」とはいっても、8点は・・すギョいね。

へへっ・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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