湯浅健二の「J」ワンポイント
		
		
		
		
			 2020年Jリーグの各ラウンドレビュー 2020年Jリーグの各ラウンドレビュー
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					 第19節(2020年9月26日、土曜日) 第19節(2020年9月26日、土曜日)-   
 この試合では、マッシモ(フィッカデンティ)による、優れた守備ニュアンスが両チームの「違い」を創りだし、それが結果に反映された!?・・(グランパスvs エスパルス、3-1) この試合では、マッシモ(フィッカデンティ)による、優れた守備ニュアンスが両チームの「違い」を創りだし、それが結果に反映された!?・・(グランパスvs エスパルス、3-1)  -   
 レビュー レビュー
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- サスガだね、グランパス監督のマッシモ(フィッカデンティ)・・
 
 様々な意味合いを内包する「バランス」の執れた、とても良いチームを創りあげているじゃありませんか。
 
 特に、守備・・
 
 たぶん、マッシモがイタリア人ということで、「強いディフェンスが当たり前」というイメージが先行しちゃうんだろうね。
 
 でもさ・・
 
 私は、ドイツ留学時代も含めて、もう、かれこれ45年以上も、この「イタリア守備イメージ」とつき合っているんだよ。
 
 そのイメージは、ドイツ留学時代も含めて、ドイツ対イタリアのナショナルマッチにおいて、ものすごく強調されるんだ。
 
 ・・攻める(西)ドイツ・・
 
 ・・その攻勢を、「したたかで忠実」に受け止めながら、必殺カウンターを決めて競り勝っちゃうイタリア・・
 
 ・・そこでイタリアが展開した、まさにギリギリの守備・・
 
 ・・それは、今で言う、「ボール奪取プロセス」ってな感じではなく、あくまでも、相手攻撃を受け止め、自ゴールを「守る」ってなニュアンスの方が先行していた・・
 
 ・・そう、だからこそ、粘り強いイタリア守備というイメージ・・
 
 ・・そこでは・・
 
 ・・社会文化のニュアンス的な差異までも感じ、深く、印象に残ったモノさ・・
 
 そして、マッシモ守備・・
 
 そんな、「イタリア守備」を体感しているからこそ・・
 
 「マッシモ守備」のニュアンスが、以前のコンベンショナルな「イタリア守備」のニュアンスとは、まったく違うって思えるわけさ。
 
 そう・・
 
 「マッシモ守備」は、決して、以前の、人数をかけ、組織バランスに固執する「イタリア的に守備を固める・・」ってなニュアンスとは、まったく違うんだ。
 
 そうではなく・・
 
 マッシモ守備では、あくまでも、攻撃的なボール奪取プロセスを展開するんだよ。
 
 でも・・
 
 そう、相手が攻め上がってくる状況じゃ、もちろん、お得意の(!?)強烈に堅い「イタリア守備」を展開しちゃう。
 
 そのイタリア(的)ニュアンスの守備では、言うまでもなく、ボールがないところでの「守備イメージングと実効アクション」が命。
 
 もちろん、ボール絡みの局面デュエルでも、決して負けない・・けれどサ。
 
 とにかく、それ以上に、次のパスレシーバーへの強力マーキング(実効カバーリング)などの、ボールなしのディフェンスが、素晴らしいんだ。
 
 まあ・・スペース潰しへの高質なイメージング連鎖・・ってなコトかな。
 
 とにかく・・
 
 グランパス選手たちが、「次の勝負所スペース」を強烈に意識し、そこへのボール奪取アクションに備えていることを感じさせられるわけさ。
 
 そんなだから・・
 
 グランパス守備が、決して「スペース」を使わせないという「強烈な意志のチカラ」を魅せつづけるのも道理ってわけだ。
 
 もちろんグランパス守備は、そんな堅牢な「イタリア守備ニュアンス」だけじゃない。
 
 そう、マッシモ率いるグランパスは、攻撃的な前からプレス守備でも、抜群の機能性を魅せるんだよ。
 
 前半立ち上がりの、阿部浩之のスーパーミドルや、ギリギリの飛び出しからスルーパスを受け、エスパルスGKまでも外して追加ゴールをブチ込んだ前田直輝。
 
 その二つのゴールもまた、彼らがブチかましつづけた、高質な「前からプレス守備」が、素晴らしく機能していたコトのロジカルな成果だよね。
 
 ということで、ここからは、エスパルス。
 
 監督のクラモフスキーは、とても優れたプロコーチだと思う。
 
 彼が創りあげようとしているサッカー自体は、アンジェ・ポステコグルーと価値を共有する、日本サッカーにとって、とても価値のあるコノテーション(言外に含蓄される意味)を内包していると思うんだよ。
 
 特に攻撃では、その、人とボールの動きに内包されている「ニュアンス」の価値は、高い。
 
 でも・・
 
 そう、前半の2失点シーンでの守備アクションに代表されていたように、肝心の、勝負所での守備アクションが、甘い。
 
 相手の決定的フリーランニングを潰す忠実マーキングやカバーリングにしても、はたまた、最終勝負シーンで繰り出す、粘りの「最後の半歩アタック」にしても・・
 
 だから、全体的には優れたサッカーを魅せながらも、何か、とても「淡泊」に、ウラのスペースを突かれて失点しちゃったりするんだ。
 
 まあたしかに、アンジェのマリノスにも、まだまだ、そんな「イージーな失点ニュアンス」が、ついて回っているとは思う。
 
 何だろうね・・そのバックボーン・・って・・??
 
 守備(戦術)イメージングの内実!?
 
 もちろん、そんなロジカルな、戦術イメージングを洗練させるのは基本中の基本ではあるよね。
 
 でも私は、それと同時に、最後は「意識こそが決定的な意味をもつ・・」ってな、意志のチカラを高揚させるのが肝心だと思っているんだ。
 
 戦術的な守備イメージングがしっかりしていても、「それ」を、粘り強く、そして厳しく実践できなきゃ、それまでの苦労が、まさに水の泡になっちゃうわけだから・・さ。
 
 今シーズンは、降格がないわけだから、クラモフスキー率いるエスパルスは(下平隆宏が率いるFC横浜や、浮嶋敏ベルマーレも!)、基本的な志向ベクトルは「そのまま」に、より、守備イメージングの内容を充実させなきゃいけない。
 
 そう、だからこそ、イメージトレーニングなんだよ。
 
 高質に編集された「イメージトレーニング用の失敗シーン集」を作成し、選手たちに、イヤと言うほど、その背景ファクターを「体感させ」つづけるんだ。
 
 あっと・・
 
 もちろん守備だけじゃなく、そのイメージトレーニングを活用することで、攻撃での、ボールがないところでのアクションの内実も、着実にアップしていくでしょ。
 
 とにかく、様々な意味合いも含めて、来シーズンのエスパルスに、大いなる期待を抱いている筆者なのだ。
 
 あっと・・
 
 もちろん、マッシモ・フィッカデンティにも・・ね。
 
 へへっ・・
 
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 最後に「告知」です。
 
 どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。
 
 一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」。
 
 
- そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」。
 
 自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
 
 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。
 
 もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。
 
 
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは- "Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。 "Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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