湯浅健二の「J」ワンポイント


2020年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第12節(2020年8月22日、日曜日)

 

いまの大槻毅レッズには、積極的な攻守リスクチャレンジを期待して止まない筆者なのです・・(レッズvsヴィッセル、1-2)

 

レビュー
 
たしかに選手たちは、とても疲れている。

もちろんそれには、「日本の夏」という厳しい自然環境だけじゃなく、コロナによってタイトになっているゲーム日程というバックボーンがある。

だから・・

とにかく、観ているコチラが、様々な意味合いで「変な感覚」に襲われるような、とても不安定で不規則なシーンが続出したんだよ。

・・えっ!?・・なんで、ソコで、そんなあり得ない判断ミスをしちゃうの??・・

・・えっ!?・・なんで、そんなところでトラップミスやパスミスをしちゃうの??・・

等など・・

特に、ヴィッセルGK前川黛也が、前後半で一度ずつ冒した、最後尾でのパスミスの異常さは群を抜いていたネ。

そう、普通だったらあり得ない、自ゴール前での、相手へのプレゼントパス。

そして、そのボールをレッズが奪い取ったことで、誰もがゴールを確信した。

でも・・

そう、そこでも(その両方のケースで!)何か変な感覚に襲われるような「不可思議な出来事」が起きて、レッズのゴールにならなかったんだよ。

そんなコトもあって、ゲームを見終わってからも、冒頭で書いた「変な感覚」がアタマから離れなくなった。

やっぱり、難しいスケジュールでのリーグ強行には無理がある・・っちゅうこと!?

それも、日本の夏・・だからね。

まあ、とにかく、コロナ禍のいまだからこそ味わえる「特異な体感」の内実を、しっかりと分析し、心に留め置かなければ・・と、実感させられたわけさ。

そう、「それもサッカー・・」っちゅうことでもネ。

ということで・・

このコラムでは、申し訳ありませんが、レッズに特化したディスカッションを展開させてくださいネ。

まあ、ヴィッセルについては・・

イニエスタの不在が意味するところと、優れたプロコーチ、トルステン・フィンクが魅せた采配(選手交代と、そのタイミング等)という特筆ポイントはあったけれど・・サ。

スミマセン、ということで、レッズについて・・

ダゾン解説の福田正博・・

彼が、何度も、こんなニュアンスの内容を解説していたね。

・・いまのレッズは、そんなにイニシアチブを握ることにはこだわっていない・・

・・しっかりとブロック守備を機能させることを強く意識している・・

・・そして、(押し上げる!?)相手が創ってくれたスベースをうまく逆利用して(カウンター気味の!?)攻撃を仕掛けていくというイメージですよね・・

えっ・・ホントにそうなの!?

思わず、頓狂な声が出た。

たしかに、大槻毅さんが率いる今のレッズの印象としては・・

サンフレッチェ戦やガンバ戦などでも魅せたような、優れた連動性を魅せるブロック守備によって堅く勝ち切るというイメージが先行している感がある。

でも、それじゃ〜・・

ヴィッセル監督トルステン・フィンクも、試合前のダゾンインタビューで・・

・・今シーズンのレッズは、昨シーズンとは違い、少し、守りを固める傾向にある・・

・・ってなコトを言っていた。

それって・・

いまの、日本の夏における強行スケジュールという「環境的な要因」を冷静に考察し、決断した結果としてのチーム&ゲーム戦術なんだろうか!?

でも、レッズ選手たちのクオリティーからすれば、そんな「戦術サッカー」が正しいベクトル方向だとは思えない。

何せ・・

浮嶋敏ベルマーレにしたって、下平隆宏が率いる横浜FCにしたって、彼らなりに(!!)、美しい質実剛健サッカーを志向しながら(!?)、しっかりと攻守のリスクに「も」チャレンジしているじゃありませんか。

そんな積極的な志向コンセプトがあるからこそ・・

そう、だからこそ、選手たちの喜びや充実感をアップさせられるだろうし、彼らのチカラだって、より大きく進化&深化させられる。

レッズ選手たちのクオリティーは、とてもレベルが高いと思う。

ということで・・

その絶対ベースがあるからこそ、いまの彼らのサッカーベクトルに関して、どうも腑に落ちない筆者なのですよ。

このテーマについては、「The Core Column」で発表した「このコラム」も、ご参照あれ。

そう、リスクチャレンジこそが、進化&深化の源泉なのですよ。

いま私は、「美しい質実剛健サッカー」ってなキャッチフレーズを、よく使っている。

要は・・

攻守にわたる、(リスクチャレンジによる)美しさを象徴する「質」と、様々な「結果」を求める「実」のバランスを、いかにうまく執るのか・・っちゅうディスカッションだね。

いまの「コロナ禍」でも、経済と疾病の抑え込みという、ある意味トレードオフの関係にある二つの訴求ファクターを、いかにうまく「バランス」させるのかっちゅうディベートが、盛んに行われているよね・・。

どこでも、最後は「バランス」という絶対テーマに行き着くわけだ。

あっ・・蛇足・・スミマセン・・

とにかく・・

わたしは、大槻毅さんとレッズに対して、もっと積極的に、攻守リスクへもチャレンジしていくことを期待して止まないわけです。

そんなレッズに対する期待が込められた、「こんなコラム」「あんなコラム」もご参照いただければ幸いです。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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