湯浅健二の「J」ワンポイント


2019年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第2節(2019年3月2日、土曜日)

 

まあサッカーじゃよくあることだけれど、それにしてもレッズは、やられ過ぎだった・・対するコンサドーレは、まさに最高の攻撃サッカーをブチかました(ミハイロに乾杯!)・・(レッズvsコンサドーレ、0-2)

 

レビュー
 
・・この試合については、まず何といっても、ミハイロ率いるコンサドーレが仕掛けつづけた、筆舌に尽くしがたいスーパーサッカーに拍手しなきゃいけない・・

・・とにかく彼らは、立ち上がりから、最後の最後まで、前からプレス守備を、レッズに息をつかせないほど徹底的にブチかましつづけたんだ・・

・・チェイス&チェック、周りのマーキングやインターセプト、また何といっても、協力プレスの集散が見事の一言だった・・

・・あのレベルの人の動き(集散)は、チーム一丸となった「闘う意志」がなければ、決して実現できない・・

・・とにかく、コンサドーレ選手たちが魅せつづけた、攻守ハードワークとリスクチャレンジの(イメージ的な!)連動性には、脱帽しかない・・

・・また・・

・・そんな素晴らしいディフェンスが機能しているからこそ、次の攻撃も、素晴らしく積極的で、危険なモノになる・・

・・そう、ミハイロが志向する積極的な仕掛けサッカー・

・・素早いダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーション・・

・・そしてたまに繰り出すドリブル勝負や、必殺スルーパス・・

・・たまには、アバウトなアーリークロスやロングスルーパス、はたまたロングシュートなどが乱れ飛ぶっちゅう感じ・・

・・結局「2-0」でゲームは終了したけれど、もしかしたら、コンサドーレが、少なくとも「あと2点」は奪っていてもおかしくないゲーム内容だったかもしれない・・

・・もちろん・・

・・そんなクリエイティブで危険な仕掛けがうまく機能したのは、ボールがないところでの人の動きの量と質が、素晴らしかったからに他ならない・・

・・そして、そんなボールがないところでの人の動きを加速させたのが、その直前でのボール奪取プロセスでブチかました、守備ハードワークだったんだ・・

・・とにかく、この試合でのコンサドーレ選手たちの「闘う意志」は、レベルを超えていた・・

・・特に、前半・・

・・レッズの側に立っていた誰もが、頭を抱えたでしょ・・

・・レッズが、こんなにサッカー内容で凌駕されるゲームなんて、近頃なかった・・

・・たしかに、XEROXカップでは、フロンターレにも凌駕されちゃったけれど、その「内実」的には、XEROXカップを上回っていたかもしれない・・

・・それほどコンサドーレ選手たちの気合いはレベルを超えていたんだ・・

・・そして、レッズ選手たちを「心理的な悪魔のサイクル」に陥れる・・

・・そんな「悪魔サイクルのチェーン」だけれど・・

・・それを断ち切るための絶対条件の一つは、言わずもがなの「強烈リーダーシップ」だよね・・

・・でも、この日のレッズには、仲間を鼓舞し、ギリギリの限界まで闘わせられるような明確なリーダーは、いなかった・・

・・そのテーマについては、「こんなコラム」を書いたコトがあるから、そちらもご参照あれ・・

・・とにかく前半のレッズは、まさに泣かず、飛ばずだったんだよ・・

・・でも後半は、少し持ち直したよね・・

・・そりゃ、グラウンドでプレーしている選手たちが、そんな「赤っ恥のサッカー」に、もっとも深く恥じ入っているはず・・

・・だから、後半がはじまった瞬間から、彼らは「前へ躍動」していった・・

・・サッカーは、その内容の全てがディフェンスの内実によって決まる・・

・・そう、相手からボールを奪い返すプロセスの内実によって、次の攻撃も含め、その後のサッカーの「量と質」が決まってしまうんだよ・・

・・とにかく前半のレッズ守備は、まさにジリ貧状態だったんだ・・

・・あっと、繰り返し・・

・・でも、そんな赤っ恥のサッカーが・・

・・そう、全員が連動する「前からプレス守備」が回りはじめたコトで、徐々に改善していったんだ・・

・・攻撃の「流れ」は、直前の、ボール奪取プロセスに大きく左右されるからね・・

・・そして、全員の攻守ハードワークアクションとリスクチャレンジ(闘う意志)が「連動する」よう改善していったっちゅうわけだ・・

・・それは、次の攻撃に、より多くの人数をかけ、それをより危険なモノへと進化させるという視点でも、とても大事なファクターだった・・

・・でも・・

・・そう、オズワルド自身が語っていたように、たしかに後半の流れは改善したけれど、それでも、そこで費やされたエネルギーは、まったくと言っていいほど足りなかった・・

・・サッカーは、本物の心理ボールゲームであり、本物のチームゲームでもある・・

・・だからこそ、ボールがないところでの、優れた動きの量と質に支えられた攻守ハードワークとリスクチャレンジ姿勢が、チームのなかで明確にシェアされていなきゃいけない・・

・・一人でも、まさに一人でも、消極ビールスに冒され、デュエルや次のリスクチャレンジプレーをビビッたら、そんなネガティブビールスが、すぐにでもチーム内に蔓延しちゃう・・

・・だからこそ、前述した、心理的な刺激クリエイターとしての「リーダーが重要な役割を担うんだよ・・

・・さて・・

・・ちょっと、ショッキングなくらい無様なサッカーを体感させられちゃったわけだけれど・・

・・それでも・・

・・わたしの、オズワルド・オリヴェイラの、プロコーチとしての「ウデ」への信頼には、いささかの陰りもない・・

・・だから、わたし「も」、必ずチームは良くなっていく・・と確信しているのさ・・

・・それにしても、やっぱり、かなりショッキングなサッカー内容ではあったよね・・

・・フ〜〜ッ・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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