湯浅健二の「J」ワンポイント


2018年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第18節(2018年7月27日、金曜比)

 

スゲ〜ね、長崎・・素晴らしい内容で、「あの」FC東京から勝利ももぎ取ってしまった・・(FC東京vs長崎、0-1)

 

レビュー
 
なんだろうね〜・・

こんなゲーム内容になるとは思ってもみなかったよ。

何せ、前節には、あんなに「強いFC東京」を体感させられたわけだから・・。

とにかくこのゲームは、長崎の「順当勝ち」と評価するのがフェアなんだよ。

まあ、シュート数(枠内シュート数)やゲーム支配率(これは互角!?)といった統計数字的にも、長崎に一日以上の長があったわけだから・・。

ということで、コラムのテーマとして、実質的な「ゴール機会の量と質」という視点と、その戦術的&心理的バックボーンをピックアップすることにしたっちゅうわけさ。

ところで、長崎の高木琢也監督。

彼は、自慢げな話し方などは、まったくやらない質実剛健なプロコーチ。だから、ハナシの内容は、あくまでも戦術ロジックに基づいたモノが主体なんだよ。

でも・・

そう、私の、少し突っ込んだ雰囲気の(チト挑発的な!?)質問に対しては、こんな感じで、「口が滑った!?」っちゅうわけさ。

・・そうですね・・

・・私は、いつも、「Try & You will see・・」なんて言い方をしているんですよ・・

私の質問は・・

・・まあ、選択肢が限られている長崎には「それしかなかった・・」という現実が、その背景にあったのかもしれないけれど・・

・・とにかく長崎の選手は、前線でボールを持ったら、迷うことなく、勇気をもって仕掛けていくじゃないですか・・

・・勝負のドリブル突破トライにしても、一発スルーパスや決定的クロスにしても・・

・・それに対して、(才能レベルが高いことで!?)選択肢が多いFC東京の選手たちは、選びに選んで、結局は、横パスやバックパスに逃げてしまうシーンのオンパレードだった・・

・・そんなフッ切れた長崎の仕掛けだけれど、「それしかない・・」という冷めた心理側面だけじゃなく、そこには、高木さんの意志も、強く反映していると思うんですよ・・

・・その視点について、コメントをいただけませんか・・

へへっ・・。

そんな、(挑発も含めた!?)突っ込んだ質問に対して、高木琢也は、最初・・

・・両サイドをしっかりと抑えられた・・だの・・

・・中盤にも、ボールへ(サポートに!)出ていくように指示した・・だの・・

・・カウンターを意識しすぎるのではなく、個々の選手が、しっかりとチャレンジしていくという姿勢は、常に強調している・・だの・・

そんなコトを、グダグダと語るんだよ。

だから、詰まらなそうな顔で、彼の眼を見つめていたっちゅうわけさ。

そしたら・・

そう、前述の、「Try & You will see・・」なんていう素敵な表現が飛び出したっちゅうわけさ。

そう・・それそれ・・

要は、松下電器(ナショナル)の創業者、松下幸之助の口癖である、「やってみなはれ・・」っちゅう指揮官マインドというわけさ。

・・やってみなきゃ、分からないでしょ・・

・・やらずに危険を避けたんじゃ、何も生み出すこと(有意義な体感を積み重ねること!?)なんて出来ないよ・・

フムフム・・。

今日の長崎のプレー姿勢には、そんな高木琢也の「哲学」が、存分に散りばめられていたっちゅうことなんだろうね。

ホントに・・いいね・・

だから、ゴール機会という視点じゃ、今日の長崎とFC東京との間には、まさに「雲泥の・・」ともいうべき大きな「差」が生じていたんだよ。

ということで、ここで・・

・・しつこいけれど、サッカーの普遍的なコンセプトを反芻しちゃうわけさ。

そう、イレギュラーするボールを足で扱うことで、不確実な要素が満載のサッカーだから(次に何が起きるか分からないサッカーだから!)、最終的には「自由」にプレーせざるを得ない・・。

そして、だからこそ、主体的に考え、決断し、勇気をもってリスクへもチャレンジしていく積極的、攻撃的なプレー姿勢こそが問われるんだ。

そう、サッカーは、究極の「意志のボールゲーム」なんだよ。

とにかく、今日の長崎は、そんな「立派な意志と勇気」を魅せつづけてくれたんだ。

それは、攻撃だけじゃなく、ギリギリの守備でも活発に表現されつづけた。

調子を取り戻し、激烈な勢いで攻め上がってくるFC東京。

そんな彼らの危険な仕掛けを、長崎ディフェンスは、ギリギリのところで守り切ったんだ。

そう、彼らは、常に「最後の半歩」が出ていたんだよ。

危険を察知したプレイヤーは、自分のマークする相手を放り出して、その瞬間にもっとも危険なスポットへ急行するっちゅうわけさ。

このゲームが(スリーバックのセンターとして!)デビュー戦となったオランダ人、ヨルディ・バイスは、的確で鋭い「大声の指示」だけじゃなく、とても効果的な「最後の半歩」も出しまくっていた。

長崎は、よい補強を見つけてきたね。

今日の長崎を観ながら、こんなコトも考えていたっけ。

・・そうだよな〜〜・・

・・抜群の攻守ハードワークをベースにした基本に忠実に、そのなかに勇気まんまんの攻守リスクチャレンジも効果的にミックスしていく・・

・・もしかしたら・・この長崎は、「あの強い」サンフレッチェ広島の「相似小型」ってなコトまで言えたりして・・

・・スミマセン・・

・・両チームにとって、失礼な評価だったら、素直に謝りま〜す・・

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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