湯浅健二の「J」ワンポイント


2017年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第32節(2017年11月5日、日曜日)

 

互いに積極的に仕掛け合ったからこそ、ゲームが、超エキサイティングなハイレベルマッチへと成長した・・(アントラーズvsレッズ、1-0)

 

レビュー
 
すごかったネ〜〜・・

まさに、ゲームのイニシアチブをめぐる、ものすごくハイレベルなせめぎ合い・・ってな感じ。

ところで・・

もちろん私は、アントラーズに関する(これまで積み重ねてきた!?)前言は撤回しないけれど、それでも、やっぱりフェアに認めなきゃいけない・・と思う。

そう、アントラーズのサッカーが、徐々に、ポジティブに変わりつつある・・というコトを。

美しく勝つサッカーを志向しはじめた!? まあ、そういう側面もありそうだね。

要は、彼らも、しっかりとゲームのイニシアチブを握るような(自分たち主体の!?)攻撃的サッカーを魅せるように変化しはじめているということ。

もちろん相手のチカラが劣る場合は、自然な流れでゲームのイニシアチブを握れるだろうから、そこから積極的に攻め込んでいくよね。

でも最近のアントラーズは、レッズやフロンターレ、はたまたレイソルといった(サッカー内容の!!)強豪と対峙しても、決して引かないんだよ。

私は、アントラーズが、今までのように(まあ、22節のフロンターレ戦では違ったけれど・・)守備ブロックを下げ気味に組織し、高い位置でのボール奪取を「したたかに」狙う・・ってなリアクションサッカー傾向から抜け出しつつあると感じているわけさ。

この試合でもアントラーズは、積極的に「前から」ボールを奪いにいった。

たぶん、アントラーズが、これまでの「戦術サッカー」から解放されつつあるということだろうね。

このテーマについて、大岩剛監督に聞いてみたいね。

この変化が胎動しはじめた「バックボーンは?」ってな感じでね。

ということで、ゲームが、ものすごくハイレベルでエキサイティングな仕掛け合いへと「成長」していったっちゅうわけだ。

もちろんレッズも、例によって(アントラーズに優るとも劣らない!)攻撃的な美しいサッカーを展開した。

とはいっても、人とボールの動きの量と質という視点では、まだまだ、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションを効果的にブチかませるレッズに一日の長がある。

でも、とにかく・・

そう、そんな風に、チカラのあるチーム同士が、「ノーガードの殴り合い」などといった低次元のぶつかり合いではなく、あくまでもハイレベルな戦術ロジックでせめぎ合うゲームは、観ていて、ホントに心躍らされるじゃないか。

ここで、アントラーズに一言。

これまでのコラムで何回か書いたけれど、ゲーム展開によって、アグレッシブに仕掛けていかざるを得なくなったアントラーズは、とても魅力的な攻撃サッカーを展開できる・・という事実。

そう、個のチカラと、チームとしての、攻守にわたる戦術イメージング(攻守イメージのシンクロ状態!!)の内容が、とてもハイレベルなんだよ。

だから私は、「出来るのに・・やらない」のは、日本サッカーの発展にとって罪深いことだ・・と書いたことだってあったよね。

また・・

そんなフラストレーションが溜まるサッカーをやっていたら、選手たちだって、やっていて楽しくないだろ・・なんて書きつづけたんだよ。

だから・・

そう、今は、「健康的に=前向きに!?=強いアントラーズ」だからこそ、フェアに、彼らのことも応援できるようになりそうな気持ちが出てきているんだよ。

来シーズンは、レッズ、フロンターレ、レイソル、ベガルタ、そしてアントラーズといった「美しく勝とうとするサッカー」を標榜するチームを中心に観戦し、コラムをアップするつもりです。

もちろん、長いシーズンのなかでは、「今日は勝負優先のゲーム戦術で・・」なんていう試合もあるだろうけれど、基本的な志向ベクトルは、常に「美しく・・美しく・・」だからネ。

あっと・・レッズ。

この試合でも、とても立派な「美しさを志向する前向きなサッカー」で存在感を発揮した。

このゲーム内容だったら、サウジアラビアのアルヒラルとのACL決勝は、問題なく良いサッカーを魅せられるでしょ。

後は、青木拓矢のケガの具合と、ベルギーから直接(!?)サウジアラビア入りする四人の代表選手のコンディション(フォーム)だよね。

もちろん心配ではあるけれど、とにかくベストな状態でACL決勝に臨めるよう願っています。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、まだ、連載をつづけています。

一つは、選択したテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝、「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・と思っている次第。

もちろん、トピックスのトップページに「タイトル」をレイアウトしましたので、そちらからも入っていけます。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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