湯浅健二の「J」ワンポイント


2015年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第4節(2015年4月4日、土曜日)

 

レッズ今シーズンのベストゲームだったと思う・・(レッズvs松本山雅、1-0)

 

レビュー
 
まあ、ゴールを決められないという「結果」をベースに語りゃ、強化守備の松本山雅ディフェンスブロックを崩し切れないなど、今までと何も変わっちゃいないってなことになるでしょ。でも・・

そう、私は、このゲームでレッズが魅せたサッカーに、大いなる希望を抱いていたんだよ。

前日の会見で、ミハイロが、松本山雅は守備を固めてくるだろうから、レッズは、ドリブラーを前面に押し出して仕掛けていく・・ってなニュアンスの内容をコメントしていたとか。

フムフム・・

たしかに、高木俊幸、梅崎司、また両サイドバックの関根貴大と宇賀神友弥など、突貫小僧連中が先発している。あっと・・、オーバーラップしてくる強力ドリブラーの槙野智章のことも忘れちゃいけない。

そして、この試合でのレッズは、後方からの(大きなサイドチェンジを多用する!?)組み立てという従来の「やり方」と同時に、どんどんとタテパスを前戦へ 送り込み(もちろんサイドゾーンへのタテパスがメインだよ!!)、そこから、積極的にドリブル勝負を仕掛けていく・・という、ちょっとしたイメチェン(≒ 仕掛けの変化)も積極的に演出していたっちゅうわけだ。

言いたいことは、レッズの仕掛け内容が、前々節ホームでの、同じように守りを固めるモンテディオ戦と比べても、明らかに、より危険なニオイを放っていたっちゅうことなのです。

だから私は、このゲームが、レッズの今シーズンベストゲームだったと評価することに躊躇(ちゅうちょ)しません。

レッズは、関根貴大や高木俊幸、また両サイドバックの突破ドリブルを起点に、そこからスムーズに危険なコンビネーションへとつなげていったり、そこから再び(薄くなった!)サイドゾーンへ矛先を転じたりと、まさに変幻自在の最終勝負をブチかましていったんだよ。

そんなだから、突貫小僧たちだけじゃなく、ワントップのズラタンも、まさに決定的というにふさわしいシュートをブチかませるのも道理。

思い起こせば、モンテディオ山形とのホームゲームじゃ、チャンスらしいチャンスを、いや、そこにつながる仕掛けの流れさえも演出するのに四苦八苦していたっけね。

でも、同じように強固な守備ブロックを組織する松本山雅に対しては、組織コンビネーションと個のドリブル勝負を、とてもスマートに、そして勇気をもってコラボレートすることで、決定的なシュートシーンを演出しつづけたんだ。

だから、観ているこちらも、手に汗握った。

特に、関根貴大。

彼の、切れ味するどいドリブル突破は秀逸だった。前後半を通じて、何度彼が、観ている誰もがフリーズしてしまうような決定的チャンスを演出したことか。

そう、チャンスメイクプロセスの内容だけは、本当に素晴らしかったんだ。

でも、決まらない・・決められない。

もちろんそこで、松本山雅のディフェンス集中力が光り輝いていたことは言うまでもない。彼らは、「次」の最終勝負スポットを「積極的」に予測し、そこへ勇敢に身体を投げ出すんだ。

それは、それで、感動させられたっけ。

そんなゲームだったけれど、ここでは、チャンスを具体的なゴールに結びつけるための「何か」についてディスカッションしようなんて思わない。

その、決定力というテーマについては、新連載の「The Core Column」で発表した「このコラム」を参照してください。

そこでは、ドイツ伝説のスーパープロコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーが主役です。

でもサ、決定力のある選手たちが、例外なく、血のにじむようなハードトレーニングを積み重ねているということだけは、確かな事実だからね。

最後に、交替出場した武藤雄樹。

私は、彼のことが好きです。

とてもクールでクレバー。ドリブル突破のチカラもあるし、パス能力でも秀でている(コンビネーションのコアとしての機能性など!)。

そして、彼がブチかます、「エイヤッ!!」のミドルシュートもまた、秀逸そのものなんだよ。

この試合でも、2本あったですかね、ベストタイミングで、鋭くボールを「叩いた」シーンが。でも結局は、気合いの乗った松本山雅ディフェンダーに、身体でブロックされてしまった。

でも、あの状況で、それもあのタイミングで、思い切りのよく、あのような鋭いミドルシュートをブチかませるんだから、それは、ホントに素晴らしい武器じゃありませんか。

まあ、とにかく、レッズを救った森脇良太のミドルシュートに、乾杯!!

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは-"Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。





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