湯浅健二の「J」ワンポイント
		
		
		
		
			 2013年Jリーグの各ラウンドレビュー 2013年Jリーグの各ラウンドレビュー
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					 第23節(2013年8月28日、水曜日) 第23節(2013年8月28日、水曜日)-   
 考えつづける強い意志こそが大事・・(マリノスvsレッズ、 3-0) 考えつづける強い意志こそが大事・・(マリノスvsレッズ、 3-0)  -   
 レビュー レビュー
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-  「那須大亮のミスだけれど・・サッカーじゃ、よくあることだから気にしていない・・その出来事については、彼自身が、一番よく分かっているはずだからネ・・もっとも良くないことは、あのプレーが原因で、那須大亮が怖がり、プレーが縮こまってしまうことなんだよ・・」
 
 私の質問への対応のなかだったけれど、その質問の骨子とは関係なく、ミハイロ(ペトロヴィッチ)が、那須大亮のミスについて言及したんだよ。
 
 チーム作りのために、メディアも、とことん(狡猾に!?)利用する。ミハイロは、ホント、優れたモティベイター(良いプロコーチ)だよね。
 
 ところで、その質問だけれど、それは、こんな感じだった。曰く・・
 
 ・・ドイツから帰国して、何試合かビデオで観戦したけれど、レッズのサッカーは、とても良くなっていると思う・・この試合でも、たしかにマリノスに押し込まれはしたけれど、決してウラの決定的スペースを攻略されたわけじゃない・・
 
 ・・まあ、タラレバだけれど、あの那須大亮のミスによるマリノスの先制ゴールがなければ、あのままのペースでゲームが進み、最後は、どちらに転んでもおかしくないギリギリの勝負になっていたと思うのだが・・」
 
 ・・そう、オレもそう思っているよ・・でも、まあ、この試合でのレッズが、勝利に値しないサッカーをやったことも確かな事実だからな・・
 
 ・・後方からの組み立てが、マリノスのプレスで抑えられてしまった・・だから、うまく組み立てられなかったし、クサビのタテパスも入らなかった・・もちろん、それには、前線のフリーランニングが十分でなかったこともある・・
 
 ・・とにかく、この試合でのレッズは、全体的な運動量が、まったく足りていなかったんだよ・・
 
 フムフム・・まあ、そういうことだね。
 
 そんなミハイロの発言を裏付けるように、マリノスの樋口靖洋監督も、こう、胸を張っていた。曰く・・
 
 ・・我々は、内容でも結果でも良いゲームができたと思っている・・前節、アントラーズに敗れたこともあって、このゲームは、ホームという意味合いも含め、とても重要だった・・
 
 ・・選手は、そのことを、深く自覚してプレーしてくれた・・そこでのゲーム戦術(プラン)だが、とにかく、レッズの「独特のスタイル」を、いかに抑制するのかという一点に集中した・・
 
 ・・だから、リアクションサッカーではなく、自ら仕掛けていくという自分たちのスタイルを貫き、そして勝利を収めることができた・・良いゲームだっ
た・・ただ、この勝ち点3を、なか2日でつづく次のゲームでいかな避ければいけない・・そのために十分な準備をするつもりだ・・
 
 いいね、樋口靖洋。表情、態度、そして話しっぷりにしても、自信に満ちあふれている。彼もまた、日本サッカーの将来を担うプロコーチだね。
 
 マリノスが意図したゲームプランは、レッズの後方からの「つなぎ」を抑え込み、高い位置でボールを奪い返して「蜂の一刺し」を見舞う・・ってな感じです
かネ。たしかに、うまく機能した部分も多かった。だから、マリノスは順当に勝利を収めた・・という評価がフェアだと思う。
 
 それにしても、信じられないミスからのマリノス先制ゴール・・そして、マルキーニョスと中村俊輔による、つづけざまの「天賦の才ゴール」。
 
 わたしは、その先制ゴールが決まるまでのゲーム展開を観ながら、こんなことをイメージしていたんだよ。
 
 ・・押されていても(レッズの内容が沈滞気味でも・・)、強力なレッズ守備ブロックだから、このままのペースで時間が過ぎていくに違いない(実際、マリノスに、レッズ守備ブロックが崩し切られた=決定的なウラのスペースを攻略された=シーンはなかったからネ)・・
 
 ・・時間の経過とともにマリノスの攻守ハードワークも「落ち着いてくる」に違いない・・そして後半は、ギリギリの勝負プロセスが展開されるはずだ・・なんてネ・・
 
 でも、まあ、あの3失点は、ある意味、「サッカーじゃ、こんなこともあるさ・・」ってな具合に、深く追求しないのが正解だと思いますよ。
 
 もちろん、「最後の瞬間における、それぞれのレッズ選手のアクション内容」については、ビデオで確認し、次の進化のための「イメージ素材」として活用しなけりゃいけないよ。
 
 マルキーニョスの「切り返し」にしたって、中村俊輔の「魔法の勝負ドリブル」にしたって、しっかりと、イメージ的な準備があれば、『自然と身体が動く』という現象もふくめて、ディフェンスは、より効果的に対処できていたに違いないからネ。
 
 そうそう、この、マリノスの「個の才能」について、ミハイロが、こんなニュアンスのコメントをしていたっけネ。曰く・・
 
 ・・我々には、「中村俊輔」はいない・・ただ、我々は一つのチームだ・・我々にとって大事なテーマは、チームとしての機能性なんだ・・我々は、あくまでもチームとして戦う・・
 
 フムフム・・
 
 そしてミハイロは、こんな言葉で会見を締めくくったね。曰く・・
 
 ・・この敗戦は、良い学習機会になったと思う・・いまの我々にとっては、土曜日のアルビレックス戦こそが重要な勝負マッチなのだ・・もし勝てたら、それこそが、この敗戦から、我々が多くを学んだことの証明になると思う・・
 
 そう・・不確実な要素が満載されたサッカー・・だからこそ、考えることが大事(学習能力を進化させることが大事!)・・勇気をもって決断し、リスクにチャレンジしていく姿勢が大事・・そのためにこそ、強い意志をもつことが最重要の課題なんだ・・
 
 意志さえあれば、おのずと道が見えてくる・・
 
 誰の言葉だっけ? さて〜〜・・
 
 とにかく、お互い、次のアルビレックス戦を、とことん楽しみましょう。
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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
 追伸:わたしは- "Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。 "Football saves Japan"の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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