湯浅健二の「J」ワンポイント


2006年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第17節(2006年8月12日、土曜日)

 

最後は完勝ということになったけれど・・(レッズ対FC東京、4-0)

 

レビュー
 
 「この試合も非常に悪い出来になってしまった・・前節のゲームも悪い内容だったから、その立て直しのために厳しいトレーニングを積んだが、それが結果に出てこなかった・・」

 開口一番、FC東京のガーロ監督がそんなことを言いました。すかさず質問する湯浅なのですよ。「たしかに私も、FCの出来は悪かったと思います・・ところで、悪い内容の試合と言われましたが、具体的にどこが特に悪かったと思ってらっしゃいますか?」。それに対してガーロ監督は、「本当に悪い内容の試合になってしまった・・厳しいトレーニングで立て直そうとしたのだけれど・・」と、同じような内容のことを繰り返してから、「先制ゴールを奪われたことで全員が(気持ちが)沈んでしまった・・メンタル面を強くしなければならない・・」と言っていました。さて・・。まあ、それ以上のことはチーム事情で言えないんだろうね。

 私は、ボールがないところでのパスレシーブの動き(フリーランニング)の量と質に大きな問題があったと思っています。何となくパスがつながっているだけ。それらのほとんどは、タテへの仕掛けパスじゃなく、ヨコへの足許パスだったからね。そんなパスをいくらつないだって何も生み出すことはできません。それに、吹っ切れたドリブル勝負も目立たなかったし、後方からの追い越しフリーランニングや、忠実なサポートもなかったしね。これでは、厚みのある攻撃を展開できるはずがない。

 まあ、ガーロさんも苦労しているんでしょう。私は、今の東京は、選手たちのマインドを「解放」してやる必要があるのかもしれない・・なんて思っていました。そんなふうに感じるほど、選手のプレーイメージが型にはまっていたと感じたのですよ。もっと自由にダイナミックに。フムフム・・。

 レッズですが、この試合での特筆選手は、何といっても、トゥーリオと鈴木啓太ですよね。トゥーリオは、最後の勝負所で魅せつづける「素晴らしい実効レベル」のスライディングが冴えわたります。何度も、ラストパスをダイレクトでシュートしようとするFC東京フォワードのアクションを抑え込んでいました。その素晴らしい最終勝負にため息しきりの湯浅だったのです。

 やっぱりヤツには狩猟民族の血が流れている・・その勝負マインドは、まさに猛禽類だ・・。農耕民族の日本人とは明確に一線を画する抜群の集中力と闘争心、そして極限の責任感と勇気に対して心からの拍手をおくっていた湯浅だったのです。彼は、オシム・ジャパンでも欠かせない(最終ラインの)リーダーになるに違いない・・。

 そして、そんなトゥーリオの「勇気ある最終勝負イメージの構築」を陰で支えていたのが鈴木啓太の、中盤での汗かきディフェンスだったというわけです。この「タテの守備コンビネーション」は素晴らしいとしか言いようがなかった。頼もしい限りです。

 とはいっても、ギド・ブッフヴァルト監督自身が言っていたように、レッズのサッカー内容が高揚するまでに時間がかかったことも確かな事実でした。小野伸二が挙げた夢のような先制ゴールの後、どんどんと、人とボールの動きが低迷していったと感じたのですよ。そしてFC東京と同じような減退気味の仕掛けに終始するようになっていく。前半の退屈なサッカーに、本当に眠くなっていた湯浅だったのです。
 レッズのサッカーが活性化しなかった背景要因の一つに、小野伸二と永井雄一郎の鈍重な組織プレー内容があったことは確かだと思っている湯浅です。もっとシンプルにボールを動かし、忠実く忠実な「パス&ムーブ」を実行しつづければ、チームのなかで、どんどんと人とボールの動きが活性化するはず。そうすれば、永井にしても、彼の最高の武器である勝負ドリブルを、「より効果的に」仕掛けていける状況だってもっと頻繁に訪れたはずだからね。小野と永井には、攻撃をリードするだけの能力があるし、チームメイトたちも頼りにしていますからね。その彼らのプレーが「遅い」のだから、あのように攻撃のペースが減退していくのも道理というわけです。

 まあ、(FC東京の)伊野波が退場になり、山田、岡野、相馬が入ってからは、ガラッとレッズ攻撃のコンテンツが高揚したけれどね。まあ終わりよければすべてよし・・ってか〜〜!? いやいや、決してそれではいけません。とにかく、進歩を目指して全力の努力をつづけることが肝心なのです。彼らは個人事業主。その自己主張と切磋琢磨という環境こそが大事なのです。

 「非日常」である2ヶ月半のドイツ遠征が終わり、やっと「日常であるJの現場」に復帰した湯浅でした。とはいっても、感覚的にはまだ馴染めていない。もう少し時間が必要ですかね。ということで今日はこのあたりで・・

 



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